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ふであと

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徒然なるままに、もの書き。

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第四章 「光の英雄」_34 

 外から見れば、この揺れが塔の消えゆく過程だということは明白だった。
 光の粉をまき散らす様は、何度も見てきた月の鎖の消失と同様で、まだ明るい空にさえ幻想的と思える光景を演出している。ただ、鼓膜を震わす崩壊の怒号が、幻想的、などと悠長に考える余裕を与えてくれはしなかった。
 月の鎖のような巨大な建造物を打ち立てることが出来るレオニードのことだから、この塔も同様の手段で建造したと考えてもおかしくはないだろう。それは同時に、上層から伸びた鎖を斬れば塔が崩れ始めるという構造になっていて、シグムントに対する罠としても機能したということか。
 ユージンはまさに崩壊を始めている塔の上層を見上げていた。隣には、その場にへたりこんでいるミルシェしかいない。シグムントも、バルバガンもいない。一緒に戦ってきた仲間の不在に胸が塞がれる。罠があると予想しながら、まんまと敵に乗せられた格好だということは否めない。参謀役を気取りながら、彼らの無事を祈るしかない状況にいることに忸怩たる思いがし、視線を落としたユージンは無意識に眼鏡に手をやった。
「ユージンくん、あれ……」
 力なく持ち上げた指で空を差し、ミルシェが呟く。彼女の方を振り向いた瞬間、巨大な影が大地を通り過ぎてその表情を隠した。次いで頭上から降り注いだ咆哮に肌を震わせられ、ユージンはもう一度、その視線を空へと戻すことになった。
 地上に巨大な影を落とすそれは、上空にあれば青いキャンパスに落とされた一点のシミでしかない。だが、その大きさが普通の鳥のものと違うことは明白だった。
「あれは……」
 ここからでも見て取れる大きな翼が広げられ、一度ふわりとその動きを止めた影は、次の瞬間、崩壊する塔の中へと飛び込んでいった。
「ミルシェくん。みんな助かるかもしれないよ」
「えっ?」
「今はただ、無事を祈ろう」
 粉塵の中から飛び出してきた影が方向を変え、塔をぐるりと旋回する。再び破壊の奔流の中へと飛び込んでいくそれを目で追いながら、ユージンは仲間たちの、そして、光の英雄の、古い友の無事を祈った。

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