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ふであと

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徒然なるままに、もの書き。

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第四章 「光の英雄」_36 

 明滅していた転送陣に飛び込んだ直後、ドミニカとエドアルドを運んだそれは光を失って沈黙した。
 下層に再び戻り、同時に降り注いだ瓦礫を間一髪でかわしたドミニカは、それとは別の腹を打つ音を聞いて顔を上げた。その音は、天蓋を支えていた巨大な石柱の一つが折れる音で、中折れしたところから滑るようにずれ落ちていくのが見えた。まずい、と思った刹那、次いで頭上から聞こえた轟音を聞きながらドミニカは反射的に走り出した。
 天井が落ちてくる。
 四本の支柱のうち、折れたのは一つだけ。まだ支えられている部分と支えを失った部分との間に致命的な亀裂が走り、天井の一角がそのまま崩れ落ちてきた。その崩れ落ちた一角には、唯一と言っていい外への通路があるのだ。
 到底間に合わぬ競争とわかっていつつも、止めるわけにはいかない足を動かす。だがそれもむなしく、極厚の石板となった天井の一部が脱出路を遮った。
 折れた柱の基部にぶつかり、崩れた天井の半分が瓦礫となって降り注ぐ。残りの半分は石板の姿を残したままに床を打った。
「くそ……」
 見えていたはずの通路の入り口が粉塵の向こうに消えていく。それを見送りながらでは次の手を判断する余裕もなく、肩で息をしていたドミニカは一瞬、呆然とするしかなかった。
 脱出路はあそこしか確認していない。どうする……?
 その逡巡の直後、目の前の瓦礫がぐらりと揺れるのをドミニカは見た。塔の揺れと錯覚したのもつかのま、瓦礫がゆっくりと持ち上がり始め、その下から金色の光が漏れだしてくる。誰かが下から持ち上げている。こんなことを出来るのは……。
「何してやがる! さっさと行かねえか!!」
 人間一人分の隙間から聞こえた野太い声に意識を引き戻され、ドミニカは「バルバガン、無茶だ!」と叫びながらも走り出した。
 左肩の月印を白熱させながら、馬鹿でかい図体の何倍もあろうかという質量を支える男が咆哮を上げる。ぱらぱらと天井から落ちてくる瓦礫がバルバガンの支える瓦礫を打つ。そのたびに軋む音と細かな破片をこぼしてはいるが、それが下がってくる気配はなかった。
 脇をすり抜けるときに見たバルバガンは、震える全身から血を流しつつもこちらを見てにやりと笑った。それがかえって長くは持たないであろうことを想像させ、ドミニカはとにかく出口へと繋がる通路へと急いだ。
「さあ、あんたもこっちへ来るんだ!」
 通路へと差し掛かると、振り返ってドミニカは叫んだ。だが、散発的に落ちてくる天井の一部が床にぶつかり、その声を遮ろうとする。
「早く!」
 もう一度、土煙の向こうに叫ぶ。だがバルバガンは動かない。いや、動けないのか? その背中に先ほどの笑みが重なった刹那、今までで一番の轟音が三発、破壊の充満した空間を揺らし、最後まで残っていた天蓋が根こそぎ崩落を開始した。
「バルバガン!」
 ドミニカの声は完全に遮られ、バルバガンの姿が土煙と瓦礫の向こうに消えていく。同時に、ドミニカのいた通路自体ものし掛かる瓦礫の重みに悲鳴を上げ始め、状況に執着しては助けられた自分の身も危ない、と戦士の本能が警鐘を鳴らした。
「くそ……。死ぬんじゃないよ、バルバガン」
 走り出した後ろから通路の天井が抜け始め、引き返せないと理解せざるをえなかったドミニカは唇を噛んだ。
 仲間を呑み込む破壊の奔流を背に、助けた命を担ぎ上げながら、助けられた身を狭い通路に駆けさせる。出口はすぐそこだ。
 すぐそこなのに……。

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