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ふであと

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小説Fallout3『じいさんとベルチバード』_05 

 Fallout3二次創作小説『じいさんとベルチバード』、最終回です。
 第四章はちょっと長いので三分割します。
 ちょっと時間はかかっちゃいましたが、何とか最後まで書けました。どうぞ読んでやってください。
 ではどうぞ。


【四】



「じゃあ、何か見つけたらまた持ってくるから」
「期待はしとらん」
「はいはい、わかってますよ」
 じいさんが倒れた夜があけた。
 すっかり熱は引いて元通りなじいさんの様子に安堵しつつも、もう一日くらいは安静にしておいた方がいいのでは、と心配にもなるのがアランの立場だった。熱にうなされて息子の名を呼ぶ姿が脳裏に浮かび、抱え上げたときの想像外の軽さが感触となって甦る。
 だが、元気を取り戻したじいさんにそんなことを言えば、返ってくるのが怒声であることは想像に難くない。普段のアランならそれくらいわかっただろうが、昨夜のことで何となく気分を出してしまったのだろう。
「用は済んだから、もう出て行け」
 余計なことを言い、そう返されたのが今朝だった。
 悪意がないのはわかるが、もう少し言い方ってものがあるだろうとも思う。その抗議は「ふん」と鼻息一つであしらわれてしまい、結局、アランは新たな旅に出ることにしたのだった。
 何かを見つけたら、また戻ってくればいい。自分もじいさんも、毎日顔を合わせるような、家族のような関係を期待しているわけではないのだから。
「だいたい、プロペラなんて見つけても、一人で運べるわけがないしね。なにより」
「おまえが見つけてきたプロペラなんぞでは、怖くて飛べん」
「ですよねー」
 慣れ親しんだ感触。
 じいさんの悪態にそれを感じたところで目を合わせると、じいさんは照れくさそうに笑った。
 熱にうなされていた昨夜のことを覚えているのだろうか。
 だが、それを確認するのは野暮というものだ。だから、アランもただ笑って答えるだけ。
 十年来の付き合いというわけではないが、《ベルチバード》の修理に付き合ってきた数年分の時間が、言葉が無くても通じ合えると教えてくれている。
「ふふ……ああ、そのとおりじゃ」
 少し湿った返答にも笑って答え、アランはすっかり軽くなった麻袋を担ぎ上げた。
「じゃあ行くから」
 廃棄部品だらけだったその中身は、餞別にもらった食料と水に変わっている。
「アラン……」
 何か言いたげなじいさんが言葉に詰まる。
 それを待つほんのわずかな沈黙の時間。
 好ましいと思えたその時間は、直後、遠くから近づいてくる聞き慣れない音に破られた。
 じいさんもその音に気づいたようで、表情が何故か険しくなる。
 音はアランの背後、丘の向こうから近づいてきた。
「アラン、家に戻れ」
「えっ?」
 先ほどまでとはうって変わったじいさんの声音にただならぬ空気を感じ取り、アランは音のする方へと視線をやった。
 それは丘の向こうから現れた。
 空気をかき乱す暴力的な音。破裂音にも似た音をまき散らしながら、見る者を圧する鈍色の肢体を震わせ、空を飛ぶ鋼鉄の獣が丘の向こうから現れる。見慣れたその姿を見間違えるはずはない。
「《ベルチバード》!?」
「アラン!」
 じいさんに呼ばれて我に返り、あっけにとられていたアランは慌てて物陰に隠れた。


【小説Fallout3『じいさんとベルチバード』】
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