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ふであと

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徒然なるままに、もの書き。

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第五章 「心の壁、心の闇」_06 

 単独行動をするなら、それなりの勝算があってしかるべきだ。
 勝手に月の鎖を斬りに行き、流されて死んでいたらどうなる? 月の鎖を斬れるのは自分だけだという自覚がない。それであの方の代わりが務まるつもりなのか。
 そう口中に罵りながら、エドアルドは皆に囲まれて宿に帰るカペルを見遣った。俺の指示通りに動いていれば、津波が去った後にでも十分に鎖は斬れたはずだ。それなのにあいつは……
「男の嫉妬」
 唐突にそう言われ、エドアルドは自分のことだとはすぐにはわからなかった。皆とともに行かず、その場に残っていたのはエドアルドだけではなかった。
「みっともないね」
 ドミニカがそう言う。
「なんだと!?」
「聞こえなかったかい? みっともないって言ったんだよ」
 ドミニカの声音には子供を叱りつけるような音が混じっている。それが腹立たしかった。
「はっきり言っておくよ。あんたに解放軍のリーダーは務まらない。坊やの方がよっぽどリーダーに向いてるね」
 ドミニカが視線を流すのに合わせて、宿に向かうカペルたちの背中をもう一度見遣る。
「あいつより俺が劣っていると?」
「向いていないと言っている。光の英雄の代理が必要なら、それは坊やであってあんたじゃない」
「シグムント様の代わりをあいつが? 一人で歩けもしない、あんな情けないやつが、あの方の代わりになれるわけがない」
「シグムントと同じ事が出来るやつなんて、どこにもいやしないさ。それを自覚しているだけ、あんたよりましだと言っている」
「……ふん」
 話にならない。だからその場をさろうとしたのだが、ドミニカがその背中にさらに言葉を投げかけてくる。
「ガキだね、あんたは」
「なっ……!」
 思わず振り向くと、目の前にはドミニカがつきだした槍の穂があった。前髪を切るほどのぎりぎりの距離。やはりこの女はかなりの使い手だ。
「冷静になりな。自分を御し得ないやつには誰もついてこない。それどころか、自分を滅ぼすことにもなる。本当にシグムントの代わりをやりたいのなら、もう少し大人になることだね」
 それだけ言い残して、ドミニカは行ってしまった。
 その背中に、エドアルドは返す言葉を見つけられないでいた。

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