03« 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.»05

ふであと

  : 

徒然なるままに、もの書き。

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告  /  tb: --  /  cm: --  /  △top

第六章 「発病」_06 

 敵を見て取ったアーヤたちが臨戦態勢に入る。アーヤの放った矢が騎士の腕に突き刺さったが、それを意に介さず騎士はカペルに突進した。
 カペルはフルートの演奏を止めるわけにもいかず、無防備なまま。一瞬慌てたが、エドアルドが無理矢理にその間に割ってはいるのが見えたので演奏は止めなかった。剣と剣がぶつかる激しい金属音がこだまし、その衝撃が降り始めていた雪をふわりと吹き飛ばす。
 ルカとロカが足下にやってきて武器を構えている。武器と言っても魔法を使うためのタクトとドラムなのだから、見た目にはじゃれているようにしか見えない。だが、二人が自分を守ろうとしてくれていることくらいはカペルにもわかった。
 エドアルドと騎士の一騎打ちが続く。エドアルドの月印が鮮やかな光を放ち、闇を払うように騎士を追い詰める。
 押され、バランスを崩した騎士にエドアルドがとどめの一撃を振り下ろした。
 だが、剣が触れる寸前に身をひねってそれをかわすと、騎士は漆黒の翼をはためかせて跳躍し、家屋の屋根へと離脱した。
 騎士が咆哮をあげる。
 身を震わせる大音量に、カペルは何故か胸を締め付けられるような思いがした。
 ひとしきり叫んだ騎士は、そのままこの場を後にする。騎士が屋根を飛び降りると、野次馬は慌てて道をあけた。逃げ遅れたものをはね飛ばしながら騎士が駆け抜けていくのを、カペルは見つめているしかなかった。
「待て!」
 エドアルドが追いかけようとしたが、その肩をドミニカが掴んで放さない。首を振って追撃を否定されると、エドアルドは口惜しそうに剣をおさめた。





 あの騎士だ。
 頭の中にあったのはそれだけで、ヴィーカは、騎士が近づいてくるのを街路の真ん中で呆然と見ていた。
 騎士が剣を抜く。
 斬られる。そう思った。
 思わず腰が抜け、その場にへたりこむ。
 目の前には漆黒の騎士。
 その手には剣。両手に保持されたそれが目線に構えられ、切っ先がヴィーカの喉元を指し示す。赤く光る目がこちらを見下ろすのが見え、言葉にならない恐怖が喉をふるわせた。
「あ……」
 剣が突き出される。
 しかし、それはヴィーカの喉を捉える寸前で止められた。
 そして、震える切っ先はだらりと下げられ、剣がその場にカランと音を立てて落ちた。
 騎士は慟哭する。
 それは絶望の慟哭。頭を抱え、身をよじり、魂を焼き焦がすような慟哭の中で、赤熱する瞳が悲しみをたたえてヴィーカを映す。
 動けずにいるヴィーカをその場において、騎士は街の外へと消えていった。ヴィーカにはそれを止めることは出来ず、今はただ、その背中を見つめているしかなかった。

【小説インフィニットアンディスカバリー】
【Prev】/【Next】
スポンサーサイト

テーマ: 二次創作:小説

ジャンル: 小説・文学

コメントの投稿

Secret

△top

この記事に対するコメント

△top

トラックバック

トラックバックURL
→http://amaenovel.blog78.fc2.com/tb.php/200-b5dbdef9
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

△top

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。