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ふであと

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徒然なるままに、もの書き。

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第六章 「発病」_07 

「捨て置けばいい!」
「でも、また現れたら?」
「そんなもの、ケルンテンの警備兵に任せておけばいいだろう。カペル、俺たちの目的は月の鎖を斬ることだ。見えない騎士を追うことじゃない!」
「だけど……」
「月の鎖の情報を得るためにも、それにこれからの支援を受けるためにも、俺たちはまずハルギータに向かわなければならない。もう一度言うぞ。俺たちのやるべきことは月の鎖を斬ることでケルンテンの警備じゃないんだ」
 怪物を追い払い、宿へと戻ったところでそう言い出したのはカペルだった。またあの怪物がやってくるかもしれないから、しばらくここで様子を見よう、と。
 確かにカペルの言うことにも一理ある。
 だが、ここであの化け物を待っていたとしても、封印軍を打ち払うことは出来ない。月の鎖を断ち切ることだって出来ないのだ。
 それでは、あの方のご意志を継ぐことは出来ない。
 自分では鎖を斬ることが出来ず、にも関わらず、それをカペルが出来るという事実が、エドアルドの苛立ちに拍車をかけていた。
「それともなにか? 住民を助けて英雄と呼ばれたのに気をよくしたのか? あの方の故郷に行けば、おまえが偽物だとばれる確率は高いからな。今のうちに英雄気取りを楽しみたいとでも思ってるんじゃないか!?」
 ここまで言われても、こいつは怒ったりしない。ただ、困った顔をするだけだ。それが余計にかんに障る。
「ちょっとエド、言い過ぎよ!」
「……ふん」
 アーヤの抗議を鼻であしらい、エドアルドは窓の外へと目をやった。そこに見えるのはうっすらと雪化粧されたケルンテンの街並みだけで、月の鎖の姿はない。
「ここで待っていても、世界は救えない」
 光の英雄の下で一つだった解放軍。いまそこに居場所がないのは、新参のカペルではなくて自分なのかもしれない。宙に浮いた自分の立ち位置に胸がえぐられる思いを感じながらも、それを胸中で否定し、ただシグムント様のご意志を、とエドアルドは自分に言い聞かせる。
 ぽんと肩に誰かの手が触れた。ユージンだ。
「エドくん、焦っても仕方ないし、カペルくんの言うことにも一理ある。それは君にもわかるだろう? 情報収集もあることだし、二、三日は逗留することにしよう」
「ユージンさん……」
「シグムントがいなくなった。僕らはあいつ抜きで戦うと決めたけど、その穴を埋めるには誰一人欠けちゃいけないと僕は思う。だから、ね?」
 あの方の光の英雄としての戦いを、最初から見続けてきたのはこの人だ。いや、その戦いだけじゃない。幼少からの友だとあの方は仰っていた。そのユージンの思いに考えを巡らせれば、エドアルドには何も言えない。
「……わかりました」
 そう言うとユージンはにこりと笑い、みんなに今日の解散を告げた。

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