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ふであと

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徒然なるままに、もの書き。

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第六章 「発病」_09 

 月の雨を浴びたアーヤのカーディナルクロークはまさに必殺の一撃だったが、カペルはそれを辛うじてかわした。代わりに思い切り頬を平手で張られたが、それで済んだのだからよしとしよう。差し引きで言えばプラスだ。
 だが、アーヤはそのままどこかへ行ってしまった。
「うーん。口は災いの元、か……」
 熱を持った頬をさすりながら彼女が消えていった方をぼんやりと眺めていると、そちらからエメラルドグリーンのワンピースをひらひらと踊らせながらファイーナがやってきた。アーヤとすれ違ったのか、しきりに後ろを気にしている。
「あの、大丈夫ですか?」
「そうでもないです」
「アーヤさん、ひどいです。カペルさんにこんなことして」
「いや、僕が悪いんですよ」
「……ちょっと見せてください」
 そう言ってファイーナが手を伸ばす。アーヤの手のひら大に赤くなった頬をなでられ、カペルは頭の奥がぼおっとしているような感覚に襲われた。張られて熱でも出たのか、それともやはりファイーナの優しさに当てられたのだろうか。
「そうだ、カペルさん。お時間ありますか?」
「アーヤがどこか行っちゃったんで、たっぷりとありますが」
「実は取引相手の方と連絡が取れなくて、私、時間が出来ちゃったんです。それで、この時間を使ってお土産を選びたいんですけど、付き合ってもらえます?」
「お土産?」
「ケルンテンには有名なお菓子職人さんがいらっしゃるんです。そのお菓子を選びたいんですけど」
「いいですよ。暇ですし」
 情報収集はヴィーカがやってくれているし、透明の騎士が現れないうちはカペルにはやることがない。
「じゃあ行きましょう」
 ファイーナに袖を引かれるまま、カペルは幻想的な広場を後にしてケルンテンの雑踏の中に戻っていった。


 その様子をアーヤは見ていた。物陰からこっそりと……。
「ファイーナさんと一緒?」
 ちょっとやりすぎたかもしれない。だから謝ろうと戻ってきたら、カペルはファイーナさんと一緒にいた。
「これじゃ謝りたくても謝れないじゃない」と口をついた自分の言葉を「別に謝りたいわけじゃないけど」とすぐに打ち消しながら、カペルがファイーナさんに袖を引かれて歩いて行くのを、ただ見送るだけ。
「……なにやってんだろ、私」
 悩まなきゃいけないことはいくらでもある。これからの戦いのこともそうだし、父様や母様のことだってある。フェイエールの行く末についても考えなきゃいけないってのに……。
 気分と一緒に視線が下を向いてしまう。ため息も漏れる。
「はぁ……」
「どうしたの、アーヤ?」
 いつのまにか足下にいたのはロカだ。当然にルカも一緒で、ルカはカペルたちの様子をうかがっているようだ。
「ロカたちこそ、なにやってるの?」
「ワタシたちはねー」
「あー、ウワキゲンバだー!」
 いきなりルカが大声を上げたので、アーヤは思わずその口をふさいで物陰に隠れた。カペルたちが振り返ったように見えたけれど、気づかれただろうか。
「もう、そんな言葉、どこで覚えたのよ!?」
 そう言ってもルカはにやりと笑うだけ。ませた子供たちだとは思っていたけれど、本当に連れてきて良かったのかな……。
 モンタナ村からの出来事が走馬燈のように蘇り、カペルたちと一緒にいた時間を思い出して、思わずまたため息が漏れる。
「だいたい、なんで私が隠れなきゃいけないのよ」
「素直にならないと、アーヤ」
「ちょ、ちょっと、なに言ってるのよ、ロカ!」
 ロカが口元に人差し指を添えてウインクする。
 静かに、のサインにそれ以上の抗弁を遮られてしまったアーヤは、やり場を無くした視線をカペルたちの方へとやった。
「と、とにかく後をつけるわよ」
「ビコウだー」
 ルカがはしゃいでいる。
 まったく、人の気も知らないで……。

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