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ふであと

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徒然なるままに、もの書き。

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第六章 「発病」_11 

 ただ待つというのは性に合わない。
 剣の鍛錬でも良かったが、あのヴィーカという少年を素直に信用して良いものかどうかがわからないと感じていたエドアルドは、自分なりに情報収集を進めていた。
 ケルンテンの住民は、その気候と同じくどこか冷たい印象があった。比較してみれば、ブルガスがどれだけお人好しの集まりだったかがよくわかる。
 エドアルドは街の酒場にやってきた。当てもなく人に声をかけるよりは、様々な人が集まってくる酒場に行くのが理にかなっているのだ。
 ギィと鳴く立て付けの悪いドアを押すと、そこにはよくある酒場の光景があった。まだ昼なので人はおらず、椅子もテーブルに上げられている。木製の床にはいくつもの染みが見てとれ、エドアルドが歩くたびにぎしぎしと音を立てている。それでも手入れは行き届いているらしく、不思議と不潔さを感じさせないのがこの店の酒場としての質を表していた。
「あんた、ここの人じゃないだろ。なにかと噂の解放軍の人かい?」
 マスターが言う。営業前でも嫌な顔をせずに応対してくれているのは、彼の人となりのおかげか、それとも解放軍という名前のおかげだろうか。
「ああ、そうだ。コバスナ大森林の様子と月の鎖の情報を探しているんだが、マスターには何か心当たりがあるか?」
「月の鎖ねぇ。ありゃあ、いまはケルンテンには無いよ。ハルギータにはまだ残ってるらしいがな。あとはカサンドラくらいだが……」
「カサンドラ王国は、確か滅んでしまって」
「ああ、今は封印軍の根城になっている。それでうちの政府が交通路をすべてふさいでしまったから、ここから今すぐ行くのは難しいだろうな」
「そうすると次はハルギータか」
 ハルギータならいずれにせよ行く予定だ。カサンドラにはいつか行かなければならないだろうが、そのあたりの助力もハルギータ女皇に願い出るべきだろうか。
 しばらく思案を巡らしていたエドアルドは、ふいにマスターの視線を感じて顔を上げた。マスターは少し慌ててから言葉を継ぐ。
「あんたたち、次はハルギータに行くのか。だったら、コバスナ大森林の道案内はもう見つけたのかい?」
「ん? ああ、一応な。ヴィーカという情報屋の少年が案内してくれるらしい」
「ヴィーカか」
「マスター、知っているのか?」
「たまに面倒を見てやってるガキだよ。コバスナの渡しなら、まぁあいつで大丈夫だろう」
「そうか」
「……あんまり無茶はさせないでやってくれよ。兄貴がいなくなってから、いろいろ無理をしているみたいでな」
「兄?」
「そりゃあ仲の良い兄弟だったんだがな。兄貴の方が原因不明の病に倒れて、そのあと……いや、とにかく無事に返してくれ。頼むよ」
「むろん、協力者の安全は保証するさ」
「解放軍がそう言ってくれるなら安心だ」
 どこか寂しげなマスターの表情が気にかかったが、エドアルドはそれを置いて酒場を後にした。

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