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ふであと

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徒然なるままに、もの書き。

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第八章 「手を取り合って」_04 

 攻撃には、常に気配がつきまとう。
 それを肌で感じられるようにならなければ、いっぱしの傭兵とは言えない。とは言っても、それはそう難しいことではない。戦場を駆け回り、殺気に身を晒し続けていれば、自然と身につく技術だ。生き残るために、生物としての本能が目覚めるようなものだろうか。だから、その技術の習得には月印の力など必要としない。現に、優れた技術を持った新月の民を何度か見たことがある。
 だが、しばらくは格下の相手ばかりしていたからだろうか、知らない間に油断があったのかもしれない。
 巨大な蜘蛛が現れた時計塔のある区画は、ドミニカがいた区画の隣にあった。そちらへと街路をひた走っていたとき、ふいに「ドミニカさん、後ろ!」と叫ぶ少女の声が聞こえるまで、その気配に気づかないでいたのだから。
 声に反応した本能が気配に気づくと、ドミニカは咄嗟に左へと転がり、その気配をかわした。直後、真横にあった街灯が倒れるのを見たドミニカは、その向こうに覚えのある少女の顔を見つけた。それはショプロン村の少女、ファイーナだった。
「ドミニカさん、危ない!」
 今度はファイーナの声よりも早くその気配を感じ取ったドミニカは、大きく後ろへと飛んでそれをかわした。かわした、と言っても気配以外には何か変化があるわけではないのだから、攻撃を食らわなかったという事実だけが、かわしたという事実を裏付けているに過ぎない。
 見えない敵。
「リバスネイルか……」
「ドミニカ、どうした?」
 一緒に走っていたユージンにそう問われたが、説明している時間が惜しい。
「ユージン、ミルシェ、先に行ってくれ。リバスネイルがいる」
 驚いた顔を見せたのも一瞬、「わかった」とだけ残して二人は蜘蛛のいる区画へと走り去っていく。物わかりの良い仲間ほどありがたいものはない。収拾の付け方がまだ見えてこないこの状況。それぞれがそれぞれの役割を果たすことこそ、いま考えられる最善の道だろう。
「私の相手はおまえか? 名も知らないリバスネイル」
 そうは言っても、見えないまま戦うのはさすがにきつい。あの巨大な蜘蛛のこともある。何よりエドアルドの治療をしなければならないのだから、こいつと遊んでいる暇なんてないのだ。
「まずは坊やを探さないと」
 呟いた直後、先ほどと同じ気配が今度は上空からやってきた。振り下ろされる剣のイメージが重なり、ドミニカは槍でそれを受け止める。
「ぐっ」
 接触の瞬間を読み切れないために力を上手く受け流すことが出来ず、その衝撃を受け止めたドミニカの全身が悲鳴をあげる。
 辛うじて受けきったその重量をはじき飛ばし、槍を構えなおして気配を探る。直後、側面より気配。剣による刺突のイメージが再び重なり、ドミニカは大きくそれをかわす。
「速い! ……いや、二人いる?」
 街に入ったときも、エドアルドを追って外に出たときも、このリバスネイルの気配は感じられなかった。意識を集中すれば、ケルンテンに来た直後のやつとも違う気がする。だとすれば、あの蜘蛛たちが現れた魔方陣のどれかから、封印騎士がこのリバスネイルを呼び寄せたのだろうか。
「まったく、やっかいな置き土産を……」
 そう思いながら顔ではほくそ笑んでいる自分も、相当やっかいな類の人間だろう。リバスネイル相手の二対一。悪くないじゃないか。
「ファイーナ! あんたは早く屋内に隠れるんだ。ここはじきに戦場になる!」
「でも!」
 ファイーナの声を意識の外に置き、ドミニカは通りの向こうにエドアルドの姿を見つけた。その近くにカペルはいる。そう判断すると、二つの気配が追ってくるのを感じながら、ドミニカはすでに走り出していた。

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