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ふであと

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徒然なるままに、もの書き。

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第八章「手を取り合って」_17 

 受け止めた斬撃が、芯に響く。
 攻撃の力を受け止めきるのは諦め、ドミニカは力の流れに沿って自ら飛んだ。それでも減殺しきれなかった衝撃に体勢を崩されると、そこにもう一人のリバスネイルが攻撃を仕掛けてくる。
 だが、それは全て想定の範囲内。
 余裕を持って攻撃をかわすと、隙を見せたリバスネイルを蹴り飛ばす。
「力の強さは相手が上か。だが」
 唇に滲んだ血を親指で拭いながら、ドミニカは敵の様子をもう一度伺った。
 敵の手に光る月印。それを縛る赤い鎖を見たドミニカは、彼らが何者であるかにおおよその見当がついていた。
 新月の民。
 太刀筋が直線的すぎるのは、理性を失ったからという理由だけでなく、単純に、訓練を積んでいないだけなのかもしれない。獣の力と速度を持った攻撃はそれだけで十分に驚異だったが、所詮は力に振り回されているだけだ。そう結論づけたドミニカの中で、目の前の強敵に対する興味は、リバスネイル化に至った経緯に対してのものへと移っていった。
「ようやく手に入れた力の代償が、これか……」
 同情と、力を求める心への共感と、それを御しえない者へのわずかな侮蔑、新月の民に対する刷り込まれた差別意識もあったかもしれない。それと、救う術を知らない自分に対するもどかしさ。ない交ぜになった感情で敵を見据え、ドミニカは槍を上段に構え直した。
 カペルの要領を得ない説明によれば、一度透明化するところまで落ちたリバスネイルを治す手立ては、今のところ無いらしい。
 それならどうすればいい?
 このまま暴走を続けさせるのか、それとも……
「やるしかない、か」
 二つの黒い影がにじり寄ってくる。双眸に光るのは血涙にも似た赤だ。降り始めの雪が街並みを染めていく中では、あまりにも異質なその姿が、この世界に居場所を失った彼らの状況を皮肉なほどに物語っていた。
 それを悲しいと感じたドミニカが、白銀の世界に揺れる二つの黒い影と相対したそのとき、それとは別の、鮮烈な色彩がもう一つ混じり始める。
 ケルンテンの街に、金色に光る月の雨が舞い散り出した。
 それを吸い、二人のリバスネイルが解き放つ黒い翼が一際大きく燃えさかる。同時に、自分の内奥で反応する月の雨の力を感知すると、ドミニカはぐるりと一つ首を回して、その力を全身へと駆け巡らせた。闘争心を奮い立たせるその甘美な力に、一瞬、頬がゆるむのを自覚し、それを敵の姿によって戒める。
「さっさと終わらせよう」
 その言葉は口中に苦みを残し、猛る心を静める音になってドミニカの耳朶を打った。

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