FC2ブログ
09« 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31.»11

ふであと

  : 

徒然なるままに、もの書き。

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告  /  tb: --  /  cm: --  /  △top

小説インフィニットリディスカバリー第二部_05 

 執筆中に何を考えていたかを再確認する「小説インフィニットリディスカバリー」、第二部編にございます。最終話の更新後、読者の方から感想や叱責をいろいろいただきまして、なかば反省会の様相を呈しながらの解説となります。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは第八章。続きです。




――カペルだって悩みます。

 過去の経験から、他人を無条件で信頼できなくなっているカペルくん。根は良い子なので、その辺の葛藤が今の彼を作ってしまったとも言えるわけですが、解放軍の一員となり、エドアルドの病気を治そうとがんばることで、無意識の内にそんあ自分を乗り越えようとしていたのかもしれません。
 第八章後半戦、鎖の台地に到着したカペルは、アーヤたちの顔を見遣りながら、心の内にあるそんな気分に気付きます。心と心の間に引かれた一本の線。越えられないはずのないそれは、しかし越えることの難しいものとして現実の世界にも存在します。
 ここでそれを描写したのは、もちろんエドアルドを治療した後の演出を見越してであります。あまり主人公らしい活躍の場がないカペルですが、この物語は彼の成長物語でもありますからね。

 ここで、その線を越えられる、越えられたと感じていることによって、エドアルドの悪意の無い発言がいっそうカペルの心を抉る。それが新月の民であることを告白する衝動になってしまう。そんなイメージですね。
 こうやって後ろの決定された場面からどんどん感情や動きを決めていくと、読んでもらうときには伏線になって見えてくるわけです。伏線は結果から張り巡らせていく。たぶん八割くらいはそうなんじゃないでしょうかね。あとの二割くらいは自分で書いたのを思い出して繋げる、って感じでしょうか。


 この最初のシーンの最後は、キリヤが「さっさと来い」とカペルを促すシーンになっています。第一部ではドミニカさんが負った、状況を冷静に判断する役割というものを、今回はキリヤに任せてみました。こういう役割の人が一人いると、場面がグッと締まるような気がしないでもないですね。




――お疲れ模様のヴィーカさん

 次の場面はヘルドと遭遇するところです。
 リバスネイル化したエドアルドは自分の感情が抑えられず、月の鎖を見ればそれを自分ではなくカペルが斬れるということに対する感情が爆発してしまいますし、リバスネイルを見れば封印騎士に敗れたことが脳裏をよぎって制御が効かなくもなります。そんなエドアルドの相手をするためにまずはカペルが離脱。アーヤは当然それをサポートするために追いかけることになります。
 本来ならそちらを手助けするべきヴィーカは、しかし、治療薬を取り返すのは自分がやらなきゃいけないことなんだと思い詰めている部分があり、単身ヘルドに突っ込んでいきます。
 治療薬は取り返したものの、ヘルドがヴィーカの兄を召喚。その兄にやられそうになった瞬間、ヴィーカは終わりを受け入れようとしてしまいました。ヴィーカはこの物語が始まる前から、ずっと心を張りつめさせてきました。それが疲れとなってどこかで終わりを求めていたのではないか、張りつめた緊張が兄の姿をみたことで緩んでしまったのではないか、と思ってそんな演出にしてみたんですが、同時に、これから繰り広げられる一連の戦闘からヴィーカを排除するのも目的だったりします。
 感情の爆発したヴィーカを置いて、カペルとアーヤ、キリヤ、そしてソレンスタムがそれぞれの戦闘を開始しました。

 このあたりは、カペルの離脱とヴィーカが薬を取り返すことだけを決めていて、書きながらどんどん確定していったところでもあります。もう一年近くも彼らと対話を続けてきたせいか、彼らの感情の機微みたいなものに関しては、考えるまでもなくわかるような、そんな状態でしたね。

 ここで書くべきは、ヴィーカのたくましさと弱さ。その両面を一つの流れの中で描くことで、ヴィーカの心がパニック状態にあることを描きたかった、のかもしれません。

 さて、ここで場面をケルンテンへと移します。再びこちらに戻ってきたときは、ヴィーカの兄の最期の場面なので、一拍置きたかったために場面を転換したわけです。あちらの戦闘中はこちらも戦闘中。だらだらと鎖の台地での戦いを描くよりも、ケルンテンの戦闘を描きながら、途中経過は読者に想像してもらおう。もしくは、時間経過だけをうっすらと感じてもらおう。そんな演出のつもりだったりします。




――ケルンテン組の三つの場面

 ケルンテン組。まずはトウマ。そしてユージン、最後はルカロカ。この三つの場面を一つにまとめたのがここですね。ここはケルンテン組が押されているような印象を持たせるための場面なんですが、短いシーンを三つ連ねて書いてみました。こういう書き方がありなのかどうかはわからなかったので、ちょっと実験的な意味合いもあります。
 その三つのシーンの解説ですが。

 まずはトウマ。ハルギータとコバスナしか知らなかったトウマにとって、ケルンテンの町並みは新鮮だったことだと思います。そいう経験をさせてくれたスバル女皇に感謝を感じるトウマの心境というのは、ようするにハルギータの少年たちがみんな持っているスバル愛から来るものなのではないでしょうか。
 このシーンを書いているときは、みんなそれぞれの思いがあって戦ってるんだよなぁ、なんて他人事のように感じていたのを覚えています。

 そしてユージン。ケルンテン兵たちが、上の命令を待たずに街の平和を守るために戦いに参加するシーンですね。
 当たり前ですが、街全体をパニックに陥れるような蜘蛛の数ですから、ユージンとミルシェ二人だけでなんとかなるはずがありません。主人公たちだけで何とかならないときは、無名の戦士たちが活躍するというのがお約束。ちょうどケルンテン政府は冷たいという描写を第六章でしていたので、それでも現場には熱いおっさんたちがいるんだぜというのを書きたくて投入したのがこの場面です。
 これで少し余裕の出来たユージンはトウマと合流。クイーンスパイダーを倒すための布石としてみたわけです。

 最後はルカロカとグスタフ。ソレンスタムに言われた通り、きっちりと通せんぼをしている二人と一匹のシーンは、感情と感情のぶつかる戦闘シーンにおける一服の清涼剤的なポジションを意識して書きました。RPGに子供はいらない、とはよく言いますが、物語的には子供がいることで厚みが出せることもままあるんじゃないでしょうか。戦場にいる子供たち。そういう状況にどう説得力を持たせるかというのは、シナリオ担当の腕の見せ所だと思いますよ。




――叫べば元気が沸いてくる。

 場面は再び鎖の台地へ。
 ヘルドとソレンスタムの魔法合戦のシーンから再開です。
 ゲーム中では当たり前のようにそうしていますが、この小説内では、カペルたちに魔法や技の名前を叫ばせることを意識して封じてきました。声に出すならともかく、文字にするとどうもしっくり来ないような、そんな印象を僕が持っていたからなんですが、この場面ではあえて叫ばせてみました。上手く書けたかどうかは読者様に聞くしかないですが、今の僕に書ける精一杯だったと思います。

 ヘルドは師と並ぶことを目標としていたわけで、それを確かめるためには師と同じ魔法を繰り出したりするんじゃなかろうか。そう考えて書いたのがこのシーンですね。インアンにおける高級魔術のオンパレード。ゲーム中でソレンスタムが使う魔法はごく限られているのですが、小説の設定では解放軍内の魔法使いではぶっちぎりの一位という設定で、他のメンバーの奥義まですべて使えることにしています。
 ただ、このシーンではまだ心に迷いがあるらしく、最大出力でやっているわけではないことになっていて、だからヘルドとほぼ対等な状態なわけです。それを匂わせるためにソレンスタムの視点で心の迷いを書いたわけで。
 リミッターを外したソレンスタムの魔法は、下等魔術であろうとちょっと洒落にならないレベルの破壊力になるかと思われます。




――取り返しのつかないこと

 先ほどの場面の最後で、ヘルドがカペルの方を見遣ってその頼りなさにコメントをします。そのフリに応じてカペルの方へと場面を移すと、カペルVSエドアルドの場面となります。
 これまでの時間、カペルはエドアルドの怒濤の攻めを辛うじてかわし続けていました。ですがそれも限界。そう感じたカペルは腹をくくります。すると、その姿にエドアルドはシグムントの残映を見、心に迷いが浮かんでしまいました。そこにキリヤの鎖鎌とヴィーカの兄の剣がぶつかる金属音がこだまし、ヴィーカの兄の姿に封印騎士を重ねたエドアルドは、シグムントと重なったカペルから目をそらすようにヴィーカの兄の方へと猪突。止めに入ったヴィーカを守るために、一瞬正気を取り戻した兄がヴィーカを押しのけ、その剣に突き刺されることに。要約するとこんな感じですね。

 エドアルドがヴィーカの兄を殺してしまうというのは、六章を書いている時点で決めていました。これは、復帰後のエドアルドが素直になるために必要な措置だったのです。
 自分のやったことへの自責の念と、それを許すと言ってくれたヴィーカの強さ。その二つが、エドアルドが自分の中の矮小な部分を押しのけるために必要なものでした。自分の小ささに気付かせる必要があったわけですね。

 ただ、まぁ、ヴィーカには二度も兄を失う経験をさせてしまったわけで、申し訳なかったと思います。ごめんよ、ヴィーカ。




――強さと、弱さ

 正気を取り戻した兄は、しかし、ヴィーカの目の前で死んでいくことになります。12歳の子供がそれを素直に受け入れられるはずもなく、ヴィーカは混乱し、手元にあるリバスネイルの治療薬を兄に使おうとしますが、それはキリヤが止めました。
「もう間に合わん。月印も、身体も」
「嘘だ! 嘘だと言ってくれよ。この薬で治るって、そう言ってくれよ!!」
 ここまで来て、自分を騙すことが出来なくなったヴィーカが、おいらを騙してくれとキリヤに叫ぶこのシーン。今回のハイライトの一つかなぁと、自分では思っていたりします。言葉と心が一致しないって経験、したことありませんか?

 しかし、ここではっきりと事実を告げられるのはキリヤだけでしょうね。ただ、彼は意外と熱いやつなので、ここまでヴィーカを追い込んでしまった兄弟子に対しての怒りがこのタイミングで爆発します。
 そんなキリヤに対して、ヘルドは挑発するようなセリフを吐くわけです。「だが、つまらぬ死に方だぞ、それは」とね。

 読者目線ではどうかわかりませんが、このシーンは書き手目線で一番印象に残っているシーンかもしれません。キリヤがね、良いセリフを吐くんですよこれが。




――場面を転換するその前に

 ヘルドがソーサリーグローブを召喚し、アーヤがそれをたたき落とすと宣言するシーン。前の場面転換と同様、アーヤVSソーサリーグローブの戦いがケルンテン組の戦闘を描写している間にも行われているような演出にしたつもりです。

 作業はキリのいいところではなく中途で止めておいた方が再開するときに楽になるので良いのです。それと同様、戦闘の始まりだけを描写して別の場面へと移ることも、場面を戻したときにいろいろと楽になるという効用があるのだと思います。けっこう使える手だと思うんですよね、これ。

 それはともかく、今回はアーヤに良いところがほとんどありませんでした。ザラではエドアルドに食ってかかり、ケルンテンではファイーナさんに嫉妬。コバスナと今回のバトル開始時には、蜘蛛に怯えてカペルにすがる始末。このままではいけないと思い用意した相手がソーサリーグローブでした。他にも理由はあるのですがそれは後述するとして、長くなってしまったので、もう一回だけ続けることにしましょう。



 次回、最終話はケルンテンと鎖の台地、それぞれの戦いが決着を迎えるラストシーンの解説でございます。お時間のある方、どうぞお付き合いくださいませ。
 それでは、また。
スポンサーサイト

テーマ: 二次創作:小説

ジャンル: 小説・文学

コメントの投稿

Secret

△top

この記事に対するコメント

△top

トラックバック

トラックバックURL
→http://amaenovel.blog78.fc2.com/tb.php/259-8b830442
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

△top

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。