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ふであと

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徒然なるままに、もの書き。

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小説インフィニットリディスカバリー第二部_06 

 執筆中に何を考えていたかを再確認する「小説インフィニットリディスカバリー」、第二部編にございます。最終話の更新後、読者の方から感想や叱責をいろいろいただきまして、なかば反省会の様相を呈しながらの解説となります。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは第八章。最後となります。




――はじまりはいつも雨

 第八章の後半は、ヴィーカの兄をエドアルドが殺してしまうところを境にさらに二つに割ることができます。押され続けた前半分から逆転する後ろ半分。その引き金となるのは、第二部の主要なテーマでもある「月の雨」です。
 降り始めた月の雨を使えるのは敵も味方も同じですが、解放軍がてだれの集まりであることと、封印軍側はリバスネイル化によって無茶をしているということが作用して、解放軍に有利に働くように演出しました。金色の雨の中での戦闘ってのは、絵的に格好良いので絶対やろうと思っていたんですよね。




――ハルギータ組とクイーンスパイダー

 小説の公開前に、技の名前を叫ばせるのってどーよ、という記事を書いてあーだこーだ言っていたときに考えたのがトウマの明鏡止水のシーンでした。そこを終点としてどういう流れでコマチとユージンを絡めていくかというのがこのシーンの課題でしたね。

 まずは終点ですが。
 トウマの技はいろいろありますが、語感が良かったのと、ためが必要な技だったのが演出に向いているということで、明鏡止水を採用。ちょっとゲーム中の技とは違ったりしますが、トウマの基本技である明鏡止水をいかに派手にするかということで意識して変更を加えました。

 第七章からのつながりですが、ここではトウマとユージンのコンビネーションを書きたかったので、それを客観的な視点で描くために主観はコマチになっています。明鏡止水の演出もあって、そんなことを考えながらうだうだ書いていると、「若に名を呼ばれることを予測できた自分をほめてあげたい」といういかにも恋する乙女的なせりふが思いついてしまったので、とどめはコマチがすることに。やはりクライマックスは爆発だろうということで、篝火の出力をかなり上げたような感じで書いてみました。

 そして、ユージンさん。彼の魔法で一番印象に残っていたのが、地面から爪の形をした岩石がずばばーっと出てくるロスデクスだったので、それで敵の動きを封じるようにしてしまおうと思い、四つ同時詠唱という離れ業をさせてみました。屹立する石柱をもって牢獄となす。なんとなく今回の最後のシーンで牢獄を出したのにつながっていたような気もします。

 三人とも、月の雨によって月印の出力が跳ね上がっているというのがここでの演出ですね。同じ明鏡止水、同じ篝火でも通常時と月の雨の中では威力も形も変化していたら格好良いよなぁということで、特に篝火は相当に派手にしてみました。

 このシーンの決定のプロセスをまとめると、トウマの斬撃からコマチの篝火につなげるというのがまず決まり、押されていたところにユージンが参加することで一気に攻勢に転ずる。そして月の雨で出力の上がった攻撃が巨大なモンスターを粉砕する。というところまでがまず決まり、そのことから、トウマとコマチが苦戦している様子をシーンの最初に設定します。
 あとはユージンをどういうタイミングで投入するかを考えながら二人を動かしていき、一番のピンチを迎えたところにヘルプに来るように持って行き、合流時にはこの前のところで書いたようにロウズを使って仲間を助けるような演出にしてみると、はい、このシーンのできあがりです。

 ね、簡単でしょう?
 でもやってみると結構たいへんなんですよ。




――ドミニカとリバスネイル

 まず、後半の転換点となる月の雨が降り出すシーンは、ドミニカさんとリバスネイルの対峙のところと決めていました。やはり月の雨とリバスネイルとの関係が第二部の根幹になっていますからね。象徴的な意味でもこれは書かなければなりません。というわけで、まずはこのドミニカさんの対峙シーンで月の雨が降り出したことを描き、トウマたちの戦いを挟んで再びシーンを戻してリバスネイルにとどめ、という流れにしてみました。

 第二部では第一部で描ききれなかった新月の民の悲劇性を描いておく必要がありました。第三部以降への仕込みのためですね。その重みを引き受けられる人となるとドミニカさんしか思いつかず、今回の後味の悪い戦いへ彼女をあてがうことになったわけです。

 新月の民の登場に関しては、まずは第六章のファイーナの発言に隠しながら仕込みをし、第七章のユージンとトウマの会話でそれを承け、そして第八章でリバスネイル化した姿で出し、それをドミニカが止める、という起承転結で織り込んでいます。起承転結という基本は、ヴィーカの一連の動きやヘルドの存在を匂わせる流れ、カペルの気持ちの変遷などなど、いろんな要素でも意識して繰り返していて、その複合で全体の起承転結とするようなイメージで全体像を作っています。なにごとも基本が大事ですからね。

 そんな起承転結の関係上、このシーンにはファイーナさんが登場します。遭遇時にドミニカさんとファイーナさんとの絡みがあったのは、ここへつなげるための伏線、と言うほどのものでもありませんが、シーンをつなげる目的があったのも理由でした。
 新月の民の話の起がファイーナさんの一言というのもあって、商売の相手だった新月の民の青年がファイーナの腕の中で死んでいき、それを見たドミニカがやりきれない思いを抱くという流れにし、新月の民の悲劇性を演出したつもりでいます。

 これら一連の悲劇は、第三部以降、レオニードの戻った封印軍が再始動し、世界中で暴れる中でさらに加速していくことになります。なぜそこまで新月の民を虐める必要があるのかというと、黒カペル化への仕込みでもあり、そして……、あまり語るとお叱りが飛んでくるのでそれ以上は伏せておきましょう。
 新月の民という全体のテーマになりうる設定がありながら、それをあまり生かせずにいた原作に対する僕なりの答えがここにあります。起承転結で言うと、第二部ではまだ承ですよね。え、ってことは第四部もやるの?




――アーヤとソーサリーグローブ

 このシーンの前に、ヴィーカの葛藤シーンを入れるべきだったかなぁと反省中。このシーンの目的は、良いところのなかったアーヤの活躍シーンを入れることと、ショック状態のヴィーカが、また無理をして戦線に戻ってくるための場面を作ることにありました。ヴィーカは強い子なので、死んだ兄の姿を見て呆然としながらも、そのままではいけないことも十分に理解して、また自分に鞭を打って戻ってくるわけです。その無理が崩壊するのが、復活したエドアルドが、無意識のうちにその兄の最期の言葉と同じ言葉を発したところになります。それはヴィーカのエドアルドへの淡い思いの萌芽となっているわけですが、そのへんのエピソードはまた先の話になりますね。

 さて、アーヤ様の活躍シーンです。
 アーヤはゲームの設定から言っても、最もハイネイルに近いコモネイルなので、月の雨の恩恵も一番大きくなります。第一部での最大の技がカーディナル・クロークだったので、今回はフェニックス・フェザーにしてみました。じつはこの後、エドアルドに向かってスナイプ・アローを使っているのですが、演出上フェニックス・フェザーの方が派手なのでこちらが最大の技と言うことにしています。そのために羽の一つ一つがカーディナル・クローク級という風にしてみたわけです。
 後はレイヴン・ヴェノムピック、デボアリング・バルチャー、シムルグ・クァイアの三つが残っていますが、全部使いたいと思っています。アーヤの技は火系ということもあって派手で良いですよね。爆発厨の僕としては気合いが入ります。

 そうそう、このアーヤの設定から考えていたことがあるんですが、このインアンの世界では医術はあまり発展していない感じなんですけど、産婦人科だけは突出して発展しているような気がするんですよね。特に出産日の調整に関してはかなり高度なものがあるんじゃなかろうかと見ています。しかもそれは王侯貴族の間だけに伝わっている秘術的なものとされていて、アーヤやカペルはそういう少し歪な形で生まれてきているんじゃなかろうかと思うのですよ。
 ハイネイルとなるためには資質が必要なわけで、それに月齢が絡んでいないはずはない。とすると、子供をハイネイルにする必要のある王族は出産日をコントロールできる必要がある。子供の人生がかかっていますから、現実世界における出産日の持つ重みとはずいぶん違っているはず。母体にとってはかなり無茶なことであっても、出産のコントロールをする必要があるはずなんです。
 そういう歪さがあると思うと、彼らを見る目もまた変わってくるような気がします。




――師弟

 ソレンスタムとキリヤ、そしてヘルド。彼らの過去に何があったかは妄想するしかないですが、少なくともヘルドの出奔が穏やかなものではなかったのは確かでしょう。ソレンスタムはヘルドの行方を心配していて、それが解放軍に加わった動機の一つにもなっています。その因縁の結末は、師が弟子の暴走を止めるために自ら手を下すという形になってしまいました。
 ヘルドが出奔し、リバスネイルの制御という無茶な方法を模索した理由は、キリヤに語らせたとおりです。ヘルドのソレンスタムへの憧憬は、エドアルドのシグムントに対するものと同じかそれ以上の強さがありました。一種の愛に近い状態だったんじゃないかと思います。

 余裕のなくなったヘルドをソレンスタムが止めようとし、ヘルドが思わずソレンスタムを傷つけてしまうシーンは、それを象徴するシーンになったんじゃないかと思います。そして、そんな歪な思いを確かめたソレンスタムは、それは悲しいと思いつつも、ヘルドにとどめとなるラノーノを使います。このラノーノはソレンスタムの本気の魔法で、迷いながらヘルドとやり合っていたときに使っていた高級魔法よりも破壊力が上になっています。

 ヘルドが最期に言いたかったのはソレンスタムに対する純粋な気持ちで、それを言いたいと思ったのも、ソレンスタムが悲しい顔をしたことで、自分がやったことへの良いわけをしたかったんだと思います。ソレンスタムはそれもすべて理解した上で「眠りなさい」と言うわけです。
 そんな二人の気持ちを理解できるのは、あとはキリヤだけだったでしょう。

 ヘルドは今回のラスボスということで、かなり(勝手に)掘り下げてみたキャラクターですね。変態チックなところはニエジェランに通じるものがありますが、あっちは戦闘狂的変態であってそれ以外の部分はわりとまともなやつだったりします。こっちはマッドサイエンティスト的変態ですから、発言は終始変態さんだったはず。封印騎士同士で話していても、会話がかみ合わなかったんじゃないでしょうか。
 物語の鍵を握るのは、主人公たちより敵キャラに魅力があるかどうかという部分にあるとも言いますが、このヘルド、どうでしたか?




――カペルとエドアルド

 さて、あとはこの局面だけになりました。冒頭からの二人の対比は、すべてこの瞬間のための仕込みです。

 カペルとエドアルドでは勝負にならないので、当初の予定通りアーヤとヴィーカがヘルプに入ります。特にアーヤの方は月の雨でテンションと出力が上がりっぱなしなので、エドアルドとも一対一でやりあえるくらいです。
 師弟対決がシリアス全開だったので、こっちではちょっとコミカルな部分も入れてみたつもりで、アーヤの「あったまきた!」って台詞なんかがそれですね。
 今回はひたすらコメディアンヌでしたね、アーヤさん。

 ここもそうですが、戦闘中の動きの描写は書きながら決めていくことが多いです。頭の中に浮かんだ映像を描写していく感じなんですが、そのぶん、書き終わった後にそれが伝わっているのかが不安にもなりますね。しっくりきているうちはやり方を変えることはないでしょうけど。

 そんなわけで、二人の力を借りてカペルはエドアルドに肉薄。押し倒してその胸に治療薬をたたきつけます。「ちょっと痛いよ」ってのはゲームの台詞なんですが、すごく印象に残っていたので採用しました。




――エドアルド、反省

 治療薬をたたきつけられた後には、エドアルドの心象世界の描写です。これは第五章でやった波にのまれた後のカペルのそれと対比する形で入れてみました。
 一つ目のシーンは、両親を失った頃の強がっているエドアルド。
 二つ目のシーンは、その強がりを現実に打ち砕かれ、そんなときにシグムントと出会ったというエピソード。
 そして三つ目がシグムントを失った今の心象と、そこに手を伸ばすカペルのシーン。ここで意識したのは、カペルをエドアルドがどう認めるか、という点です。

 エドアルドの心理状態を考えると、光の英雄という言葉は彼の中で特別な意味を持っていたように思えます。シグムントが世界からそう呼ばれているからというだけでなく、彼がエドアルド個人にとっての光、迷っていた自分を導いてくれた光だったからエドアルド個人にとっての光の英雄なんだ。そんなイメージですね。
 エドアルドがカペルを認めるためには、ただ鎖を切れるだけじゃなく、その光の代わりになれないといけないわけで、彼がそう感じるようになるためのエピソードというのがこの第二部なわけです。

 ヴィーカの苦悩も、そのための装置の一つとして作り出したもので、エドアルドはヴィーカを見て自省することになります。上ばかり見ていたエドアルドが、自分よりも弱いと思える相手の強さを垣間見ることによって反省できるようにする。それがヴィーカの役割でした。




――カペルの秘密

 そして、この復帰後のきれいなエドアルドが不意に漏らした新月の民のたとえが、カペルの心を深く抉ることになります。エドアルドが素直な状態にあることをカペルが理解しているからこそ、そんなときに自然と出てきた心と心の間に引かれた線は、カペルにはくっきりと見えてしまったわけです。

 そして今回のハイライト。月の鎖の粒子が舞う中で、激情にまかせてカペルが秘密を告白をするシーンです。
 第一部のハイライトにはヴェスプレームの塔が崩壊するというわかりやすい派手なシーンがあったんですが、今回は崩壊させるべき巨大建造物がなかったのでいろいろ迷いました。一時はハルギータを崩壊させようかとも思ったんですが、ストーリーがつながらないので却下。
 結果的にはこの告白シーンを派手めに演出することでハイライトにしてみたわけです。第二部は第一部よりも登場人物の心理描写に力を入れていたので、心理的な意味でのハイライトになった方がいいだろうということで、告白シーンがそれになりました。

 かなり初期から決めていて、このシーンを書くために半年がんばったようなものなので、ここで脳汁全開になってしまっていましたねー。この後の仲直りシーンがすこしおざなりになってしまった感があったので、先日、少しだけ書き足しました。




――レオ様の帰還

 ラストシーンはエピローグ的にレオニードの復活シーンを書いてみました。第五章の最後に仕込んだものをここで拾った感じですね。同時に第三部のプロローグともなっているわけですが、それを書くのはまた先の話。
 ゲームだとこのあたりの帰還シーンが描かれていなくて、唐突な復活に驚いた人も多かったんじゃないでしょうか。たぶん、この小説みたいな感じで戻ってきたんだと思います。たぶん。

 セラゲに潜った封印騎士三人。ニエジェランが片腕を失うほどの深手を負ってしまったわけですが、これはセラゲの過酷さを演出するとともに、隻腕の剣士というものを書いてみたいという僕のわがままが理由です。これに絡めて、とある要素をミルシェに焼かれたリバスネイルの描写に入れ込んでいます。採用するかはわからないけれど、アイデアとしてとりあえず織り込んでおいたのでした。





――あとがき

 以上、小説インフィニットアンディスカバリー第二部の解説でした。さらさら書いてはいますが、本編を書いているときの苦悩が思い出されて涙なしには語れないというのが本音です。どうか褒めてあげてください……チラッ

 インアンを小説化するというのは、キャラが立っていること、世界観がきちんとあること、そして原作でストーリーが端折られていることという要素に、小説を書いてみたいという僕の欲求が重なったことで始めた企画なわけですが、一年以上も続けることになるとは思ってもいませんでした。第三部、第四部、そして未踏の地、2までやるとすれば、あと数年はかかるプロジェクトになりかねませんが、気長に続けていきたいなと思っています。
 第三部の舞台はおそらくゲームでばっさり切られた二つの街、地方での戦いとなるかと思います。もう妄想だけで何とかしないといけないという点ではオリジナルを書くのと大差ないような気もするんですが、ゼロから自分で書いてみたいという欲求がわき上がっておりまして、しばらくはそちらにかかりっきりになるかと思います。いくつかのアイデアはすでにあるんですけどね。主役はたぶんミルシェさんとフリス&セラフィマのケルンテン組になるんじゃないでしょうか。

 ではまたいつかインアンの世界でお会いしましょう。あなたに月の加護があらんことを。
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テーマ: 二次創作:小説

ジャンル: 小説・文学

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