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ふであと

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徒然なるままに、もの書き。

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第二章 「鎖を斬る者たち」_06 

「こちらです」
 城内の掃討を終えたブルガス軍の兵士が、客室に人を連れてきた。封印軍に捕らえられ、軟禁されていたその場所で、ソレンスタムはそのときを待っていた。
「“星読み”ソレンスタム殿とお見受けする」
「いかにも。光の英雄殿ですね。お噂はかねがね」
 まだ若い。容貌から十七、八といったところか。だが、それに似つかわしくない落ち着いた雰囲気。醸し出される威厳。それが生来のものなのか、それとも英雄と呼ばれることで身についたものなのか、ソレンスタムには判断がつかなかった。
 英雄シグムントの後方に控えていた眼鏡の男が続ける。
「ユージンと申します。ブルガス王の要請で、封印軍に捕らえられていたあなたを救い出すよう仰せつかっております。我々に同行して王都までお戻りいただけますか」
「私は王都に用はありませんよ、ユージン殿。もともと森の奥に庵を構えて隠棲していた身。王に心配していただけるのは光栄ですが、お断りさ――」
 不意にユージンの後ろにいた少年に目が止まり、ソレンスタムは言葉を飲んだ。容貌は光の英雄シグムントの生き写し。だが、雰囲気が全く違う。客室の豪華さに見とれて、ぼーっと周りを見ているしまりのない表情。およそ軍に似つかわしくないゆるい雰囲気。にもかかわらず……。
 そのとき、ソレンスタムの視界を現実とは別の映像が埋めた。“星読み”と呼ばれる所以、断片的に未来のイメージが映像となって浮かび上がる力が、その少年の姿に共鳴した。

 どこかの城。王がいるはずの謁見の間か。王はいない。赤い絨毯の上に、少年が頼りなげに立っている。シグムントではなく彼の方だ。そして絨毯の脇に立ち並ぶ神官たち。背中にはソレンスタムと同じ、月の力の結晶である光輪が浮かんでいる。その光輪が、消える。次々と消える。力を失った神官たちがバタバタと倒れ……。謁見の間で立っているのは少年一人になった。少年の表情はわからない。
 これはいったい……。

「ソレンスタム様?」
「ああ、すいません、ユージン殿。わかりました。同行させていただきます。久しぶりに蒼竜王のご尊顔を拝するのもいいでしょう」
「ありがとうございます。では早速」



「ねえあれって」
 立派な客室に見とれていたのもつかのま、その部屋の主らしき人を見つけたカペルは、思わずその人を指さしてしまった。翠色の長髪と幾重にも重ねられた白のローブは、学者然とした雰囲気ではあっても驚くほどではない。カペルが思わず指を指したのは、その背中に光る光輪のせいだ。
「指ささないの、失礼でしょ! あの方は“星読み”ソレンスタム様よ。ブルガスのハイネイルの中でも最も高名な方ね」
「僕、ハイネイルって初めて見たかも」
「月の力を最大限に受ける力を持った人たち、それがハイネイルよ。あの背中の光輪は月の力の結晶みたいなものね。だからほら、光輪と言っても三日月みたいな形をしてるでしょ?」
「ほんとだ」
「封印軍も無茶な扱いはしなかったみたいね。良かった」
 アーヤの言ったように、限定的な月印の能力しか持たない大多数の人、コモネイルに対し、ハイネイルというのは月の恩恵を最大限に受け、それを自在に制御する力を持った上位種族だ。全人口に占める割合はわずかなものだが、王族や貴族といった支配階級である場合がほとんどで、二重の意味で、カペルには最も縁遠い存在とも思えた。
「あなた、名前は?」
 ソレンスタムが、すれ違いざまにカペルに尋ねた。
「カペルです」
「そうですか、カペルくん。ブルガスまでよろしくお願いします」
「あっ、はい」
 ソレンスタムは微笑を返して、そのまま行ってしまった。

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