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ふであと

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徒然なるままに、もの書き。

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ソウルイーター(仮) 第一章_03 

「ぷはっ!」
 茂みを突っ切ってもまた茂み。
 巨体のマンイーターを振り切るためにだろうか、彼女の選ぶ道はもはや道でもなく、ノエルの口には容赦なく草や葉が飛び込んでくる。
「しゃがんで!」
 ぐんと手を引かれて無理矢理体勢を低くさせられる。自分の太ももより太い木の枝か幹かが頭上を過ぎていくのを感じたらすぐに身体を跳ね上げた。過ぎていったそれが乾いた音を立ててぶち折られるのを背中に感じれば、その場に寝転がっているわけにはいかない。
 その流れで手が放されてしまったことに寂しさを覚えながら、ノエルは前を行く少女の背中に目をやった。土地勘があるのか、彼女の足取りにはよどみがない。足場も視界も悪いこんな場所を走れる運動神経も、そのへんの少女のそれではなかった。
 いったい何者だろう……。
「飛びなさい!!」
「う、うん!」
 今度は膝の高さに枝が伸びている。慌てて手をついて飛び越えたノエルだったが、岩に生えていた苔に足を取られてバランスを崩してしまった。転けてしまえば、後ろのマンイーターに追いつかれて食べられてしまうのは自明だった。食べるのは好きだけど、食べられるのはごめんだ。
 それでも一度失ったバランスを取り戻すのは難しく、視界がぐるりと回転しようとする。支えに入ってくれる人がいなければ、ノエルが食べられたのは本日二度目ということになっていた。
「あ、ありがとう」
「ぐずぐずしない」
 また手を引っ張られて走り出す。女の子に手を引かれている、というが男として少々情けないが、自分の命には代えられないので仕方ない。
「もうすぐだから頑張りなさい」
「もうすぐ?」
 再び獣道に出たところで彼女が言った。ともかく、今は何者かもわからない彼女を信じるしかない。相変わらず森は美しくて、どうせならもっとムードのある状況で歩きたいところだ。
 そんな邪なことを考えていたのを見透かしてか、彼女は再び茂みに突っ込んでいく。純白だった服が汚れていくのも気にしていない様子だったが、汚れても損なわれない美しさがあるということをノエルは教えられた気分だった。
 その彼女の澄んだ瞳がこちらに向けられる。
「飛んだらすぐに捕まって」
「え?」
 惚けた思考を有無を言わせない声に引き戻され、真後ろに獣くさい息を感じた直後だった。
「今!」
 腕を引っ張られたのを合図にノエルは彼女と一緒にジャンプした。茂みの上に枝が見え、捕まれと言うのはあれのことかと判断してすぐに実行する。捕まった勢いで身体を引き上げると、ノエルに飛びかかろうとしていた勢いそのまま、マンイーターの巨体が足下を擦過していった。
 その先には地面がなかった。
 茂みの向こうにあったのは、抉り取られたような断崖絶壁。
 勢いを減殺しきれなかったマンイーターは、結果、その崖に飲み込まれることになった。
「た、助かった……」
 枝に捕まったまま胸をなで下ろしていると、彼女が先にと降りていく。ミシミシと軋み始めた枝に別れを告げ、ノエルもその後を追った。

【SoulEater】
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テーマ: 自作小説

ジャンル: 小説・文学

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