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ふであと

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徒然なるままに、もの書き。

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ソウルイーター(仮) 第一章_06 

 赤いアクセントをかませた漆黒の外套に身を包み、音もなく森を駆け抜ける人の姿。それも複数だ。外套の動きから腰に帯刀しているのがわかる。明らかに特殊な訓練を受けた身のこなし。ばらけて動くのは索敵も兼ねてのことか。
 不思議な感触だったが、複数の場所の映像が同時に見えているようだった。距離感もなんとなくわかる。それぞれの位置をつなぎ合わせれば大きな弧を描いているだろう。それを円と考えるのなら、中心点にもう一つ、いや二つの人影。
 一人は他の連中と同じように漆黒の外套を身にまとってはいるが、明らかに空気が違う。おそらくリーダーか。もう一人も明らかに空気が違う。こちらは慣れない甲冑に脂ぎった汗を流している中年の男だ。特殊な訓練はおろか、身体を動かすことにさえ慣れていなさそうな男は、汗を拭き取りながらぶつぶつと何かをもう一人の男に言っているようだった。
 男が何かを指さしながら怒鳴っている。上げた腕につけた籠手に見慣れた紋章があったをの見つけ、ノエルは彼らが何者かを理解した。
「……帝国の連中」
 双頭の蛇とそれを貫く一本の剣。権勢は弱まりつつあるものの、いまなお権威と権力の保持者である帝室の紋章が、男の甲冑には刻み込まれていた。
 でも、この森は彼らの管轄外のはず。それが何故ここに?
 疑問が頭をもたげた直後、額の感触が引き離され、映像が途絶えた。
「大丈夫?」
 ノエルを放すと、フィーアはその手で自らの身体を抱いた。その姿からも、そして映像が途絶える一瞬に流れ込んできた感触からも、彼女が何を感じているのかがノエルにはわかった。
 怯え。
 マンイーターにさえ冷静に対処してみせた彼女が、怯えている。
 心配になったノエルは彼女の肩に手を伸ばしてみた。だが、それよりも早く、怯える身体にむち打つようにフィーアは伏せていた視線を上げて遠くへとやった。その目にまだ怯えを滲ませながら、押さえ込むようにして見えない何かを追いかける姿に、ノエルは伸ばした手のやり場を失う。
「向かっているのは……!」
 彼女の全身に緊張が走る。周りを泳いでいた光の粒子がすでに散っていることに、ノエルはこのとき気づいた。
「アゼル!!」
 そう叫ぶと同時に彼女は唐突に身を翻した。弾けるようにして走り出す。
「ちょ、ちょっと待ってよ、フィーア!」
「ノエル、あなたは早く森を出なさい!」
 それを言い残すだけで、彼女は足を止めようとはしなかった。必死で追いすがろうとするが、ノエルの足ではとてもじゃないけど追いつけそうもない。
 すぐに彼女の姿を見失ってしまった。
「出なさいって言われても……」
 追うのを諦め、ノエルはぐるりと森を見回してみる。
「ここ、どこ?」
 マンイーターからの逃避行ですっかり方向感覚を失った今、わかるのはフィーアが走り去った方角だけ。森を出なさいと言われても出来るはずもなく、ノエルは途方に暮れるしかなかった。
 走り去った彼女のことを思い出す。
 何者かはまだわからないが、最後に見たのは怯える女の子の姿だったのは確かだ。
 すがるものがそれしかないから、というわけじゃない。外套の連中が危険なのはうすうす感じられたが、だからこそ、怯える女の子を放っておくことなんてできるわけがなかった。
「それに……かわいかったしね」
 追いつけるかはわからない。
 それでも、ノエルはフィーアの消えた方角へと向かった。

【SoulEater】
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テーマ: 自作小説

ジャンル: 小説・文学

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