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ふであと

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徒然なるままに、もの書き。

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第三章 「新月の民」_05 

 月の鎖は村の奥にあった。そこには湧き水の溜まる小さな池があり、同時に、祭事を行うための祭壇があった場所でもあるらしい。村の生命線とも言える水源を押さえられ、村人たちの困窮は切実なものだったろうことは容易に想像できた。
 封印騎士はまだそこにいる。
 彼らは自分の強さに絶対の自信を持っているせいか、単独で鎖のそばにいることが多いらしい。鎖の防衛を絶対とし、封印軍の指揮系統とは別のところにいるようにも思える、とカペルはユージンから聞いていた。この騒ぎでも動かないあたり、それは本当のことなのだろう。
「受け止めるなら、ちゃんと受け止めなさいよね」
「そうだね」
「……聞いてるの?」
「……」
 助けたはずのアーヤに何故か怒られていたカペルだったが、その言葉はあまり頭に入ってこなかった。次にしなければならないことに気を取られていたからだ。
「村人に安全を確保したことを伝えて回れ。ミルシェ、怪我人を集めて治療を頼む」
「うん、任せて。ぜーんぶ治してあげるわ。でも封印騎士はどうするの?」
「私が行く」
 シグムントが全員を見回す。その視線がカペルの前で止まる。
「カペル、行くぞ」
「あっ、はい」
 心臓が一つ、どくんと脈打つ。昨日はついて行くとは言ったけれど、戦の生々しさを目の当たりにしたばかりのカペルは、今は逃げ出したい気分でいっぱいだった。
「お、俺も行きます!」
 エドアルドが一歩前に出て言った。
「……ついて来い」
「はい、ありがとうございます!」
 物好きな人もいるものだと、カペルは深々と頭を下げたエドアルドを見て思った。自分から戦場に行きたがる気持ちは、カペルにはわからない。
 そのエドアルドが顔を上げると、きつい視線がこちらに据えられた。何故か怒っているようだ。身に覚えのない恨みはまだ解消されていないようで、その迫力に押されて、カペルは半歩後ずさりした。
「な、何……?」
「ふん」
 まるで子供が拗ねるように首を振ると、エドアルドはシグムントの後を追い始めた。カペルはやれやれと胸をなでおろす。何を怒っているのかしらないけれど、ちゃんと言ってほしいよね。そんな風に口中につぶやいていると、少しだけ緊張がほぐれている自分にカペルは気がついた。行くぞと言われた時の、胸を押しつぶすような息苦しさが消えている。
 シグムントが待っているのが見えたので、カペルは慌てて後を追った。何故かアーヤが隣にいる。
「アーヤもついてくるの?」
「カペルがヘマしないか、私が見張っててあげるわ」
 物好きがここにもいた。

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