04« 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31.»06

ふであと

  : 

徒然なるままに、もの書き。

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告  /  tb: --  /  cm: --  /  △top

第三章 「新月の民」_09 

 食事を終え、フェイエールへの出発は太陽が傾き始めた頃になった。肌寒さを覚える時間には、中継地点のオアシスにたどり着く予定だ。
 門前に集まり、見送りに出てきた村人たちと最後の挨拶をする。ただ、ルカとロカがまだ来ていない。二人だけで遠くに行くことはないだろうが、落ち着きのないルカのことだから、珍しい虫でも追いかけて迷子になっているなんてこともありうる。
「ねえ、アーヤ。ルカとロカ、見なかった?」
「ふふふ、あそこ……」
 アーヤが指さした先に二人はいた。村人の一人、ちょうど二人の母親くらいの女性と何やら楽しげに話している。頭を撫でられて照れ笑いを浮かべている様子は、二人がまだ子供だと言うことを思い出させるのに十分だった。
「……この辺で、二人はモンタナに帰した方がいいかもしれないわね。なんだかんだ言っても子供だもの。やっぱり寂しいんじゃないかな」
「じゃあ、僕も一緒に行こうかな」
「……逃げる気でしょ」
「だって、敵の本拠地なんて行きたくないよ」
「だめ」
「そう言うと思ってました。とほほ……」
 大袈裟に肩を落としてみせる。その肩を叩かれてカペルが振り返ると、そこにはシグムントがいた。
「そろそろ行くぞ」
「あ、はい」
「ルカ、ロカ、行くわよ」
 アーヤに呼ばれた二人が駆け寄ってくる。最後にもう一度名残惜しそうに振り返り、二人は全身でさよならを言った。カペルも一緒になって手を振る。穏やかで微笑ましい、そんな出発の光景だった。





「……余計な事をしてくれた」
 ふいにどこからか、そんな声が聞こえた気がして、エドアルドはそちらを振り返った。だがそこには、送り出す村人たちとそれに手を振るカペルたちがいるだけで、不穏な言葉を発するような人影は見あたらない。
「……気のせい、か」
「エドアルド、どうした?」
「いえ、何でもありません」
 もう一度確かめるように声のした方を振り返る。やはり見あたらない。目に映るのは、先ほど鎖を斬った男の姿だけだ。
「……カペル、どうしてお前なんだ。何故俺じゃない」
 口中につぶやく言葉は、エドアルドの心にくすぶった熱を静めるには不十分だった。

【小説インフィニットアンディスカバリー】
【Prev】/【Next】
スポンサーサイト

テーマ: 二次創作:小説

ジャンル: 小説・文学

コメントの投稿

Secret

△top

この記事に対するコメント

△top

トラックバック

トラックバックURL
→http://amaenovel.blog78.fc2.com/tb.php/46-8d63cf2f
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

△top

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。