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ふであと

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徒然なるままに、もの書き。

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第三章 「新月の民」_13 

 中継地点のオアシスで一泊し、道のりも半分を越えたが、モンスターが現れる気配はない。いまだ慣れないオラデア砂丘の強い日差しを浴びながら、カペルはショプロン村の住人たちの最後尾を歩いていた。
 助けたお礼を言いに来たファイーナがそのまま隣にいるのは、世間話以外に特にやることもない平和な旅路では、自然な成り行きだった。
「――とまぁ、そんな感じで僕は解放軍に同行してるってわけ」
「じゃあ、アーヤさんの勘違いから始まったんですか?」
「そうそう。なんだかすっかり逃げられない空気になっちゃっててさ。ね、アーヤ? ……アーヤ?」
 隣にいたはずのアーヤは、いつのまにか後ろを歩いていた。妙にいらついているようで、近づきがたい雰囲気を醸し出している。ああいうときは話しかけない方がいい。何故かじっと睨まれてしまったカペルは思わず前をむき直すが、背中に突き刺さる視線に嫌な汗が止まらない。
 この感覚、初めてじゃない。確か、ミルシェさんとブルガス城で話した時にも……。
「じゃあアーヤさんに感謝しなくちゃ……」
「えっ?」
「こうしてカペルさんに会えたのも、アーヤさんのおかげってことですよね」
「ま、まぁそうなるのかな」
 対照的に、このショプロン村の女の子、ファイーナはいたって機嫌が良さそうだ。
 モンスターに追われていた疲れも見せず、ファイーナは屈託のない笑顔を会話の合間に見せていた。無地のワンピースとその上に重ねられたカーディガンはすっかり汚れてしまっていて、瞳の色に合わせたようなエメラルドグリーンが色褪せて見える。ファイーナはそれが気になって仕方ないようだが、同じグリーンのリボンで一つにまとめた髪と合わせて、その仕草も彼女の女の子らしさを引き立てているようで好ましくも思える。活動的なアーヤや大人の色香を放つミルシェとはまた違う魅力だと言っていい。
「レイム君もルカロカとすっかり仲良くなったみたいだね」
「ええ。同年代の友達なんてなかなかできないから、嬉しいんでしょう」
 先頭を歩くルカとロカ、それにレイムを加えた三人は、みんなを先導しているつもりなのだろうが、周りから見ればはしゃいでじゃれ合っているようにしか見えなかった。
「……あーあ、三人ともはしゃぎすぎて盛大に転んじゃってるよ。大丈夫かな」
「もう……。私、ちょっと見てきますね」
「双子の方もお願いします」
「ふふふ。はい」
 ファイーナが子供たちに駆け寄っていく。
 それを見送ると、カペルはアーヤの方を振り返ってみた。ぷりぷりと怒っているアーヤは彼女らしいとも思えるが、イライラと何かを溜め込んでいる姿はあまり見ていたくないものだ。その原因をつきとめるべく、カペルはアーヤの隣に並んで話しかけた。
「優しいお姉さん、って感じだよね。ファイーナさんは」
「……あの子のカペルを見る目、なんだか普通じゃないよね」
「そう?」
「そうよ……。別にどうでもいいけど」
「何を怒ってるのさ」
「怒ってないわよ。ふん」
 そう言ってアーヤは早足で行ってしまった。
「ちょ、アーヤ……。おなかでも減ってるのかな」
 結局、怒っている理由はよくわからないままだ。

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