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ふであと

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徒然なるままに、もの書き。

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第三章 「新月の民」_16 

 カペルは走りながら、足下の石を拾って蛇の群れへと投げつけた。石をぶつけられた蛇がカペルを振り向く。
 間合いに飛び込む。
 首をもたげ、蛇は全身をしならせながらそれを伸ばした。
 カペルはその攻撃を紙一重でかわし、他の蛇たちの間、レイムのいる場所に滑り込むように入り込む。
「カ、カペル兄ちゃん」
「レイムくん、伏せて!」
 言いながらレイムの頭を押さえ、力任せに剣を振り回す。切っ先が円を描き、一匹目を斬り伏せた。だが、二匹目、三匹目にはかわされる。それでも、剣を避けようとした蛇が後ろに仰け反ったために一拍分の余裕が生まれた。
「動ける?」
「う、うん」
「じゃあ、あの岩陰に走るんだ、今すぐ!」
 レイムを引き起こし、蛇の間をすり抜ける。
 背中を向けた瞬間、カペルは蛇が襲ってくる気配を感じて振り返った。大きく口を開けた蛇の牙が間近に見えた。咄嗟に半身をひねってかわす。
「カペル兄ちゃん!」
「走って!!」
 続けて、もう一匹がかわした蛇の影から飛び込んでくる。大きく開かれた口に合わせて、カペルは剣を水平に払う。くわえ込まれた剣を、両手でめいっぱいなぎ払うと、引き裂いた蛇の口がさらに大きく広がる。断末魔の音を発しながら、蛇は長ったらしい身を砂の上でくねらせた。
 後一匹。
 そう思った刹那、足下に鈍い衝撃が走る。蛇の太い尾に足を払われ、カペルは引き倒された。仰向けになったカペルに蛇がのしかかる。
 太陽を背にした蛇がシルエットになって見えた。涎がぽたりと落ちてきて、頬にかかって嫌な臭いを発したが、気にしている余裕はなかった。襲ってくる感覚を肌に感じた瞬間、カペルは影に向かって夢中で剣を突き出した。
 刃が肉を裂く感触がはっきりと感じられた。カペルの腕の根元にまで蛇の牙は迫っていたが、そのぶん、蛇は深くカペルの剣を飲み込むことになった。最期を迎えた蛇が力なく崩れ落ちる。
「うげっ!」
 蛇の巨体を受け止める形になったカペルはうめき声を上げた。どうにかして大蛇をどかし、巨体の下から抜け出す。
「うう、重い。でも、これでとりあえず大丈夫かな……って!」
 レイムを走らせた方を見ると、別のモンスターがいた。今度はクマだ。
「ったく、次から次へと勘弁してよー」
 だが、そうも言っていられない。疲れた身体に鞭を打って走るしかない。
 クマが大きく振りかぶり、レイムをその爪で引き裂こうとする。また拾った石を投げつけるも、一度じろりとこちらを見ただけで、クマは獲物を変えなかった。
「間に合って!」
 クマの爪が振り下ろされるのと、カペルがクマとレイムの間に割って入ったのはほぼ同時だった。
 影が重なった瞬間、クマの右手が鮮血を撒き散らしながらちぎれ跳んだ。振り下ろされた爪の勢いに合わせて、カペルが剣で跳ね上げたのだ。
 右手を切り取られ、痛みと怒りに支配されたクマが雄叫びをあげる。
 カペルは離れるようにとレイムに目配せするが、クマが残された左手を薙いだためにそれを遮られた。爪を剣でなんとか防御するも、野生の力に抗しきれずに吹き飛ばされ、カペルは岩壁に叩きつけられる。
「ぐっ……くはっ!」
 意思に反して、身体が勝手に肺の空気を絞り出す。
 剣を握る手に力が入らない。
 肺の中身を失った身体が、一瞬、硬直してしまっている。 
 近づいてきたクマが左手を振りかぶる。
「カペル兄ちゃん!」
 レイムの声が聞こえたが、身体が動かないのではどうしようもない。カペルは呆然とクマの左手を見上げた。
 次の瞬間、細長い何かが視界の外から飛んできて、閃光の尾を引きながらクマの左の掌に突き刺さると、それを大きく外側に弾き飛ばした。引きずられるようにクマの巨体がよろめく。
 もう一本。次は右肩、右の横腹、右足と、クマの右半身に次々と突き刺さり、最後の一本がクマの右側頭部を打ち抜くと、クマの巨体は力なく崩れ落ちた。
 アーヤが矢を射かけてくれたのだ。ファイーナと一緒にいるようだった。
 二人が駆け寄ってくる。レイムもだ。
「ほんと、私がいなかったら何にもできないんだから」
「ははは……感謝してます」
 また助けられてしまった。
 抱き起こされている格好と合わせて、我ながら情けないとカペルは苦笑した。それで、自分で立ち上がろうと手をついたが、先ほどのクマの攻撃を受けて挫いたのか、痛みに思わずその手を引っ込めてしまう。
「ふふふ。ほら、動かないで。それくらいなら、私の月印でも治してあげられるわ」
 そう言うとアーヤはカペルの手を取り、月印を使って癒しの光をあてがった。いつもの赤い光とは違う白い光は、とても優しくて、温かい。
「はぁ~、気持ちいい……」
「ちょっと、変な声出さないでよ!」

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