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ふであと

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徒然なるままに、もの書き。

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第三章 「新月の民」_17 

 アーヤがカペルの怪我を治療している様子を、ファイーナは少し離れて見ているしかなかった。自分に月印のないことが、これほど悔しかったことはない。
 それでも、ファイーナはただ黙って悔しがっているような女の子ではなかった。自分にも何か出来ないかと周囲を見回すと、カペルの剣が落ちているのを見つけた。カペルがクマに吹き飛ばされたときに落としたものだ。ファイーナはそれを拾いに行った。
 拾い上げる。血と砂で汚れた剣は、思っていた以上に重かった。
 自分は、アーヤのように傷を癒すことも出来なければ、戦うすべも知らない。カペルは自分たちを村に送った後も戦い続けるのだろうか。だとしたら、戦えない私は彼の側にはいられない……。
 アーヤが羨ましかった。
 月印を持つ人が羨ましかった。
 今までずっと溜め込んできた思いが吹き出してくるのを感じて唇を噛んだ刹那、頭上から甲高い鳴き声のようなものが聞こえて、ファイーナはそちらを見上げた。
「ファイーナさん!」
 カペルの声が聞こえた。見上げた先に、レイムを連れ去ろうとしたガルーダの姿が見え、それが徐々に大きくなってくる。
 私を、狙っている……?
 そう理解すると、恐怖に手が震え、ファイーナは拾った剣を落とした。身体が竦んで動けない。
 誰か、助けて……!
 震えて叫びが声にならない。やっぱり私には戦うことなんてできない。
 それを自覚して、ファイーナは自分が情けなくて仕方なかった。
 ガルーダの姿がどんどん大きくなるのを呆然と見上げるしかできずにいると、それを遮るように、視界に影が割り込んできた。
 艶やかな黒髪を揺らす影。アーヤだ。
 アーヤは腰の矢入れから最後の矢を引き抜くと、ガルーダ目がけてそれを放った。
 しかし、ガルーダがそれをひらりとかわす。
 矢が無くなっても、アーヤはファイーナの前を動こうとせず、短刀を引き抜いて逆手に構えた。
 盾になる気なの?
 守られていることにほっとする反面、それを悔しいと思う自分を見つけてファイーナははっとした。そう思う自分が許せなかった。
 だから、足が萎えて動けないならせめて、とガルーダを睨みつけた。自分はもう怯えてなんかいないと、これが精一杯の強がり。
 だがお構いなしに、ガルーダはとがったクチバシをこちらに向けて急降下してくる。
 その時、視界の外から何かが飛んできたのが見えた。
 細長いシルエットが黒い尾を引きながら飛び、それはガルーダの側頭部に直撃した。アーヤの矢とは違う、もっと太くて大きいものだ。
 槍だ。
 頭蓋を打ち抜かれたガルーダは槍の重さに引っ張られるように落ちていく。地面に突き刺さった槍に無理矢理頭をもたげさせられたまま、休まることも許されずにぴくぴくと最期の生理反応を見せていた。
「まったく……。お転婆は直ってないようだね、アーヤ!」
「ドミニカ!」

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