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ふであと

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徒然なるままに、もの書き。

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第三章 「新月の民」_20 

 アーヤを追って広場まで来てみたはいいが、カペルは彼女を見つけられないでいた。広場には再会を喜ぶ村人たちがまだたくさん残っていて、ちょっとしたお祭りといった雰囲気になっている。人ごみというほどではないにせよ、この中から人を探すのは骨が折れそうだった。
 しばらくふらふらと探してみたが、アーヤは見つからなかった。代わりに、と言ってはなんだが、カペルはルカとロカの二人を見つけた。
「二人とも、お疲れ様。大丈夫だった?」
「当たり前だろー」
「わたしたちにかかれば、かんたん、かんたーん!」
「ほんと、頼りにしてます」
 まずは二人の無事に安堵した。二人の母親から預かってきた身としては、今回は多少無茶をさせた気がする。
 それでも、二人がいてくれたことは、本当に助けになった。二人だけじゃない。アーヤもドミニカもだ。村人を送るだけならひとりでもなんとかなると思っていた自分の見通しの甘さには、今は苦笑するしかない。
「あー、あの人!」
「おーい!」
 二人が声をかけようとしたのは広場の対角にいる女性だろうか。彼女は確か、ショプロンからフェイエールへと出発しようとしたときに、二人と話していた女性だ。母親のようにも見えると思ったのを、カペルは思い出した。
 村人たちの間をすり抜けるように駆けていく二人を追いかけながら、その嬉々とした姿に、やっぱり母親が恋しい年頃なんだと再確認する。
 しかし二人は、広場の中程で立ち止まってしまった。
 見れば、ちょうど二人と同じ年頃の少年を、彼女が抱き上げようとしているところだった。親子なのだろうか。
 その睦まじい姿を見て、ルカとロカはそれ以上近づくことをためらったのだろう。子供の癖に気を遣うところがあるものだ。
 二人の背中を、カペルはそっと抱いて言った。
「二人とも、お母さんに会えなくて寂しいんじゃない?」
「……そんなこと、ないよ」
「ルカもわたしも、もう子供じゃないもん……」
 言葉とは裏腹に、声は沈んでいる。大人に混じって戦う力があると言っても二人はまだ子供だ。寂しくないわけがない。
「そっか……。でもさ、二人は寂しくなくても、お母さんは寂しがってるかもしれないよ?」
「……カペル」
「一度モンタナ村に帰ってみない? お母さんのためにもさ」
 次の戦いは、封印軍の本拠地だ。子供を戦いに巻き込むのもここいらが限界。連れて行くのもどうなのかと思える。アーヤとそう話していたのもあって、カペルはそれとなく促してみた。直接「帰れ」と言っても、二人は多分帰らないだろう。
「でも、ボクたちがいなかったら、カペルは何も出来ないじゃないか」
「んー、まあ何とかなるよ。今は解放軍のみんなもいるしね」
「でも……」
「じゃあこうしよう。二人はいったんモンタナ村に帰ってお母さんを安心させる。その後フェイエールに戻ってくればいい。すぐに戦いが始まるわけじゃないし、なんだったら僕が引き留めておくよ」
「ほんと?」
「約束するよ」
 カペルは嘘をついた。二人が帰っている間に、戦いが終わればいいと思っていた。こんな嘘なら、たぶんついても許されるだろう。
「……じゃ、じゃあ、ちょっと帰ってみようかな」
「わーい!」
「ロカ! それじゃあボクたちが帰りたがってるみたいじゃないか!」
「あっ! す、すぐに帰ってくるんだから、カペルはシグムントを引き留めておかなくちゃダメなんだからね」
「わかってるよ、ロカ」
 素直じゃないなと笑いつつも、二人が喜んでいる姿を見ればこれで良かったとも思える。
「……三人で何やってるの?」
「アーヤ」
 声をかけてきたのはアーヤだ。どこへ行っていたのかはわからないが、どうやら落ち着いたらしい。
「お母さんを安心させるために、二人は一度モンタナ村に帰ることにしたんだよ」
「でもすぐに戻ってくるからね!」
「戻ってくるんだから!」
「そう……うん、その方がいいかもね。お母さんも……心配しているだろうし」
 歯切れの悪いアーヤの物言いが気になったが、理由を聞いたらまた怒り出しそうな気もするので、カペルは何も聞かないことにした。
「そうと決まったら腹ごしらえだ。ファイーナさんが晩御飯を用意してくれるんだってさ」
「レイムが、ねーちゃんのごはんはおいしいって言ってたよ」
「アーヤのよりおいしいのかなぁ」
「じゃあ行こう、ルカ、ロカ!」
 二人と一緒になってカペルも走り出す。
「ごっはん! ごっはん!」
 思い出したように腹の虫が騒ぎ出した。
「……あんたまで子供になってどうするのよ」
「アーヤ、何してるのー。置いていくよー」
「まったくもう……ちょっと待ちなさいよー!」

 太陽は顔を隠し始め、あたりは徐々に薄暗くなってきた。家々から明かりが漏れ始め、大変だった一日の終わりを伝えようとしている。
 先に行かせた双子の背中を見ながら、カペルはアーヤが並んでくるまで待ってみた。
 自然と隣に並んだアーヤも、双子の背中を見つめている。
「ちょっと寂しくなるわね」
「まぁでも仕方ないよ。ここまで連れてきたのだって無茶だったわけだし」
「そうね……」
 ルカとロカは、この旅の最初の仲間だ。カペルもアーヤも、旅の間に親心がわいてきたのか、自然と二人を見る目も優しくなる。
「もう怒ってない?」
「知らないわよ、バカ」
 そのおかげか、アーヤの怒りも静まったようだ。

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