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ふであと

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徒然なるままに、もの書き。

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第三章 「新月の民」_21 

 ファイーナの手料理に混じって村人からの差し入れも並んでいる食卓は、思っていたよりも豪勢だった。味も文句のつけようがない。
「おいしーね」
 舌鼓を打ちながらロカが言う。
「本当はもう少し良い物を出したかったんですけど」
 謙遜するほど悪いものとも思えないのは、旅が長くなって舌が貧乏になったからだろうか。たぶん違う。単純にファイーナの料理の腕が良いからだ。アーヤには、それがなんだかおもしろくない。
「あっ……おいしい」
「ありがとうございます、アーヤさん」
 おもしろくなくても、アーヤの舌は嘘をつけない。思わず口に出した賞賛の言葉にお礼を言われ、複雑な気分になったアーヤは話題を変えようとした。
「それにしても、どうして封印軍はこんなところに来たのかしら」
 ショプロンには新月の民がいる以外は、何もない土地だった。封印軍がわざわざやってきて鎖を打ち込む理由がわからない。
「もしかしたら、だけどね」
 ドミニカが言った。
「坊や、ブルガスのモンタナ村で封印軍と遭遇したんだったよね?」
「そうです。青龍が月の鎖に変えられようとして」
「このショプロンの土地はね、元々はフェイエールの聖獣、朱雀の座所だったんだよ」
「モンタナが青龍のそれだったように?」
「ああ。ただ、オラデアはこういう土地だからね。フェイエールが拓けていく過程で、不便なこの場所からは人がいなくなってしまったんだ。その後に入植してきたのが新月の民さ」
「それじゃあ、ショプロンの鎖ってもしかして朱雀が……」
「いや、朱雀は数年前に姿を隠している。それも封印軍にやられたっていう話だけどね。自分のところの聖獣を守れないなんて、私たちにしてみれば情けない話さ……。ただ、青龍が月の鎖に変えられようとしてたってのは、逆に言えば、月の鎖を創り出すには闇公子の力だけでは足りないんじゃないか、っていう風に考えられると思わないかい? その媒介になるものがが聖獣であるにしろ、その座所であるにしろ、さ。もちろん、これは仮定の話だけど」
「……無尽蔵に月の鎖を打ち込めるわけじゃない、ってことですか」
「延々といたちごっこになるわけじゃないのかもね」
「…………」
 カペルとドミニカの会話を聞いているうちに、アーヤだけでなく他のみんなも押し黙ってしまった。せっかくの食事の時間に、空気を悪くするような話題をふったことに、アーヤは少し後悔した。
「まっ、考えてもわからないさ。ヴェスプレームの塔で闇公子の首根っこをひっつかまえて、直接聞いてやればいい」
 そうやってドミニカが場の空気を笑い飛ばしてくれたおかげで、その後の食事は笑いあり涙ありの楽しい時間となった。

 食事も終わり、アーヤは後片付けをするファイーナを手伝っていた。
「アーヤさん」
「何?」
「あの、アーヤさんにもお礼をさせてください。いいものがあるんです」
「いいもの?」
「ふふふ……」
 無邪気に笑ってから、ファイーナは続けた。
「お風呂」

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