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ふであと

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徒然なるままに、もの書き。

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第四章 「光の英雄」_04 

 城の最上階に設けられた謁見の間に入ると、首長である炎鳳王シャルークとともにシグムントたちの姿が見えた。“祝福”の儀式はすでに終わったようだ。
「ただいま帰りました」
「よく帰ってきた、カペル」
 シグムントがそう言う隣で、儀式を受けたばかりのエドアルドが少し苦しそうにしている。シグムントが儀式を受けたときも苦しそうな表情を見せていたのを思い出し、カペルは儀式に対する不信感を強くした。
「エドアルド、大丈夫?」
「う、うるさい! それよりもアーヤたちはどうした」
「アーヤならトイレだよ。ルカとロカは――」
 と、カペルが何度目かの説明を始めようとしたところで、部屋の入り口に立っていた衛兵が声を張り上げた。
「殿下のおなりです!」
 部屋に入ってきたのは女性だった。ジーナさんの言っていた姫様だろうか。
 ドレスはフェイエールの赤で染め上げられた布地で、装飾は王族のそれらしく華やかなものだ。肩から腕にかけてが露出しているのも、涼やかで上品な印象を与えている。一つにまとめられた髪がふわりと揺れ、その根元を炎鳳王のそれと同じ意匠の冠が飾っていた。
 本来ならその美しさに目を奪われるはずなのだが、この時カペルは、いや、カペルだけでなくエドアルドたちも同様に別のことに目を奪われた。
「……アーヤ」
 動じていないのはシグムントとユージンくらいか。
 アーヤがそのシグムントの前で立ち止まり、言った。
「英雄シグムントとその御一行。よくぞ我がフェイエールへおこしくださいました。国民一同を代表して歓迎いたします」
 シグムントがアーヤの前に跪き、礼をする。
 アーヤはそのまま進み、王の前で足を止めた。
「おひさしぶりです、陛下」
「……息災か」
「はい。……“祝福”の儀式ですか」
 アーヤがこちらをちらりと見て言った。いつもとは違う、どこか冷たい目をしている。
「英雄殿たっての願いでな」
「……そうですか。陛下のことですから、無理に受けさせたのかと」
「……」
「……」
 アーヤのとげのある言葉に、二人は沈黙する。帰るのが憂鬱と言っていたのは、両親と上手くいってないからなのか。
「不満があるようだな」
「いえ」
「……母にも挨拶を済ませよ、アーヤ」
「はい。仰せのままに」
 きびすを返すと、アーヤはこちらを一瞥することなく出て行った。
「あれが……、アーヤ?」カペルが思わず言葉を漏らす。
「なんだか雰囲気が違うな……」エドアルドも同様に驚いたようだ。
「お姫様みたい、だったね」
「ああ。お姫様みたい、だったな……」

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