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ふであと

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徒然なるままに、もの書き。

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第四章 「光の英雄」_08 

 それから、額から頬を伝った汗が何個目かの雫となる間、少年はあれでもないこれでもないと物色を終えないでいた。すぐにでも報告を入れたいと思っていたウェッジには、ひどく長い時間に感じられる。
「兄ちゃん、そ、そろそろ決まらないのかい?」
 急いた気持ちを抑えきれずにウェッジは言った。
 その答えが返ってくる前に、少年の隣に別の人影が並んだ。
 ウェッジは思わず身を固くする。
 こいつのことは知っている……。
「アクセサリーになんて興味あるのかい、坊や?」
「ドミニカさん」
 そう、ドミニカだ。フェイエールに雇われた傭兵の中でも、とびきり腕の立つ女だった。この少年が解放軍の一員なら、知り合いであっても不思議ではない。
 そのドミニカが、探りを入れるように視線をこちらに向けた。ウェッジは反射的に作り笑いを浮かべる。それは長年の諜報活動で培った習性のようなものだ。
 怪しまれているのか? 何か下手を踏んだだろうか……。
「興味があるわけじゃないんですけどね。きれいだったからアーヤにでもプレゼントしようかと思って」
「へぇ、案外マメなんだね」
「ははは……。助けてられてばっかりだと、格好つかないじゃないですか。これでも僕、年頃の男の子ですからね。一応、体裁ってものがあるんで」
「なんだいそれ」
 ドミニカが笑う。笑いながらも、こちらを探る気配は消していないのを感じられて、ウェッジの汗は熱を失うばかりだ。
「……じゃあ、これにしておきな」
 ドミニカが指さしたそれは、クマをかたどった子供向けのブローチだった。
「クマ? しかも子供っぽくないですか、これ」
「それでいいんだよ」
 そのブローチを手に取り、少年が不思議そうに眺めていると、「じゃあ私は用があるから」と言い残してドミニカは行ってしまった。
 落ち度は無かったはずだ。怪しまれたとしても、それは勘であって確証はないだろう。気づかれてはいないはずだ……。
「子供っぽくないですかね」
「うーん、確かにね」
 年頃の女の子が喜ぶ品とは思えない。だから正直にそう言ったのだが、少年は「まいっか」とあっけなくそれに決めた。今まで悩んでいたのは何だったのだ……。
 まあいい。
 いずれにせよ、これで店を閉められる。報告に行ける。
 はずだったのだが……。

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