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ふであと

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徒然なるままに、もの書き。

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第四章 「光の英雄」_21 

 先走ったことに後悔はない。
 一人になったことで逆に冷静になった自分を確かめたエドアルドは、転送陣から一歩、薄暗い回廊へと足を進めた。静まりかえった回廊で鼓膜を刺激するのは自分の足音だけ。それがかえって罠の存在を疑わせる。
 シグムント様をお守りすると決めていたにも関わらず、それがかなわない状況に焦りがあった。だから、ニエジェランにいいようにあしらわれてしまった。
 だが、よくよく考えればあの方が負けるはずはない。たとえカペルが足手まといになってもだ。冷静になった頭がそう断定すると、もう一つの目的を果たさなくてはならないという思いが頭をもたげてきて、剣を握る手に力が入る。
 封印騎士を倒す。
 ショプロン村で戦ったセムベラスという封印騎士には、結局勝つことが出来なかった。とどめを刺したのは自分だが、そこまでやつを追い込んだのはシグムント様だった。
 その直後に、カペルが月の鎖を断ち切った。戦力では自分が上という自負はあったが、それでも封印騎士に勝てない程度ならば、どちらがあの方にとって必要な存在なのか。それを考え出すと、いてもたってもいられなかった。
 だから、ここで封印騎士を倒す。
 フェイエールで得た新たな月印の熱を確かめ、猛る気持ちを抑え込みながら、エドアルドは禍々しい彫刻の並ぶ回廊をひた走った。

 回廊の先には大きな部屋があった。どこかにある通気口から風が吹き込み、松明の明かりを揺らしてはいるが、窓の類はない。通路にあったものと同じ彫刻が壁に並び、趣味の悪い部屋だと片付けたエドアルドは、そこに待っていた男を見つけた。
 封印騎士。
 ドミトリィと呼ばれていた、黒髪の若い男だ。
「一人か」
 静まりかえった部屋にドミトリィの声が広がる。次いで「ニエジェランめ、わざと通したか……」と毒づく声が聞こえ、鞘から剣を抜く音を響かせた男が油断のない目をこちらに向けた。
 それは剣士の目。矜恃を持った目の色に、この男は剣士なのだと理解したエドアルドは、罠への警戒を解いて戦闘態勢に入った。
「まぁいい。名を聞こう」
「エドアルドだ」
「封印騎士の一人、ドミトリィだ」
 名乗ると同時に二人は床を蹴り、部屋の中央でぶつかった。
 身長ほどもあるエドアルドの大剣の突撃を細身の剣で受け止めながら、ドミトリィは涼しい顔さえ浮かべている。
「聞いていたよりもやれるようだな」
「なめるな!」
 ドミトリィの剣を跳ね上げ、そのまま大剣を振り下ろす。だが、隙を見せたのも一瞬、ドミトリィはすでにその場にいなかった。剣が斬ったのは残像のように残る黒い靄で、ドミトリィは間合いのはるか外に移動していた。
 サランダがそうしていたように、ドミトリィもまた空間を瞬間移動できるのか。だとしたら厄介な能力だ。
 もう一度相手を睨め据える。その横に沈黙したままの転送陣を見つけ、こいつを倒さねば先へは進めないと悟った頭が身体に覚悟を促す。
 大剣が心なしか軽く感じるのは、月印の出力があがったからだろうか。暴れ馬のような新たな月印を御さなければ勝つことも難しいのならば、何があろうとやるしかない。そう断じた意志が、剣の柄をきしませた。

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