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ふであと

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徒然なるままに、もの書き。

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第四章 「光の英雄」_23 

 奥の手を隠しているのはお互い様か。
 ドミトリィと何度かぶつかり合ううちに、エドアルドはそう確信した。
「本気で来ないのか?」
 相手もそう感じていたようだ。エドアルドは「お互い様だろう」と応じながら、このままでは埒があかないのも事実だと認めざるをえず、そろそろか、と口中に呟きながら手の甲に光る月印に目をやった。
 新たに授かったそれは、以前のものと比べものにならないほどの力を秘めている。ときに暴れ、それを御しえなければ己が身を焼くことになるだろう、と炎鳳王は仰っていたが、今ならそれがよくわかる。
 身を焼くほどの力は、すでに皮膚を裂かれるような痛みを身体に刻み込んでいた。秘めた力を解き放てばどうなるか、それを耐えることができるのか。とにかくやれるだけやってみるしか、勝つ方法はないのだろう。
 エドアルドは、気合いを一つ発し、剣を敵に相対させた。
 瞬間、全身に衝撃が走る。
 体液という体液を沸騰させる月印が、あふれ出す力と激痛を指先一つ一つにまで押し広げ、エドアルドは呻きを漏らしながら不敵に笑った。
 やれる。この力があれば、封印騎士を倒すことができる。
「ほぉ……」
 まだ余裕を見せる封印騎士に、そんな顔をしていられるのも今のうちだけだと毒づき、エドアルドは床を踏み砕きながら飛び込んだ。
 爆ぜた床石が中空を漂う間にドミトリィとぶつかる。余裕を持って受け止めていた敵の剣を大きく弾き、その隙を埋められる前に次の攻撃を振り下ろす。ドミトリィの致命となる隙間を少しずつ押し広げ、いけると踏んだエドアルドは、左下から渾身の力で大剣を切り上げた。
 その剣先は、ドミトリィの甲冑をかすめたが、切り裂いたのはそれだけだった。
「ちぃ!」
 思わず舌打ちをし、一手早かったかと反省するエドアルドの目が、ドミトリィの甲冑からこぼれ落ちた丸い革袋を捉える。
 宝珠だ。
 転送陣を起動するための宝珠だと判断した瞬間、間合いを詰めたエドアルドは思い切りドミトリィを蹴り飛ばし、それを拾うことをさせなかった。
 壁面に並べられた彫刻を粉砕し、もうもうと立ちこめた土埃の向こうにドミトリィが消える。それを確認したエドアルドは、ドミトリィの代わりにそれを拾い上げた。
 その中身は、極小の雷光を中に爆ぜさせている透明の珠。それが下層で手に取ったものと同じ宝珠だと確かめ、これで上に行けると思ったのもつかのま、エドアルドはその場に立ち尽くした。
「どうした、行かないのか?」
 砕けた彫刻の中から這いだし、口からこぼれる血をぬぐいながらドミトリィが言った。
 その顔を見据え、シグムントが負けるはずはないという確信をもう一度引き寄せたエドアルドは、宝珠を後ろに投げ捨てた。
 カランと音を立て、それは部屋の入り口あたりまで転がっていく。
「おまえを倒してからだ、封印騎士」
 退くことの出来ない戦い。
 自分の言葉にそれを再確認し、全身を貫く痛みに覚悟を決める。
「いい覚悟だ」
 にやりと口元を歪ませてこちらを見たドミトリィから、瞬間、笑みが消えた。
「ならば、こちらもそれ相応の力で相対せねばなるまい」
 ――来る。
 直後、ドミトリィを中心として爆発した衝撃波が粉塵を巻き上げる。狭い空間に暴れる爆風の向こうに見えるのは、ショプロン村で見た光景と同じだった。黒い炎となった何かが翼のように展開され、先ほどまでとは比べものにならない威圧感をまき散らす。
 そうだ。これが封印騎士の本当の力。ショプロン村では手も足も出なかった異形の騎士の姿だ。
「望むところだ」
 これを倒さねば、勝ったとは言えない。暴れる月印による激痛を耐えて、エドアルドもまた月印の力を解放する。

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テーマ: 二次創作:小説

ジャンル: 小説・文学

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