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ふであと

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徒然なるままに、もの書き。

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第四章 「光の英雄」_26 

「――そんなわけで、必ずしも君たちの戦いに大儀があるってわけじゃないこと、わかってもらえたかな?」
 三匹目の“クロン”ヴィシャスアイをバルバガンの戦斧が斬り伏せた後、ニエジェランが語り出した話に全員が息を呑んだ。
「じゃあ、あなたも……新月の民なの?」
 信じられない話だと決めつけられず、ミルシェはぽつりと呟いた。それが聞こえたのか、ニエジェランが不敵に笑う。
「何も新月の民ばかりが集まっているわけじゃないさ。月印がもらえるなんて話を聞いたら、誰だって興味を示すだろう?」
 まだ息のあった二匹目の“クロン”ヴィシャスアイが、その隣で黒ずんだ光を上げながら爆ぜて消えた。それをまたせせら笑いながら、自らの月印を見せつけてニエジェランは言う。
「あんなクズどもと一緒にされたくないね。ボクのこれは生まれつきさ。ただ――」
 ニエジェランが逆の手をこちらに向ける。そこには別の月印が浮かびあがっていて、先ほどのものには無かった赤い鎖がそれを縛り付けているのが、はっきりとわかった。
「こっちは貰ったんだけどね」
 そう言い放った瞬間、赤い鎖がどす黒く汚れ、次いで起こった爆風に視界を遮られる。その向こうに見えたニエジェランは、背中から漆黒の翼を燃え上がらせていた。
「さあ、ここからが本番だ。ふひひ、楽しもうじゃないか。解放軍のみなさん」
 威圧感がまるで違う。
 それは実際の圧となって空間を暴れ、ミルシェが広げていた魔導書のページをぱらぱらとめくりあげた。
 ドミニカがかまわずに飛び込んでいくのが見えた。
 ミルシェはニエジェランの話を整理しきれず、呆然とそれを見ているだけだった。
 不意に肩を叩かれ、はっとして振り返る。
 その理知的なイメージとは違う無骨な手を、ユージンはミルシェの肩に置いたまま言った。
「僕らには僕らの戦う理由がある」
 視線をニエジェランに向け、眼鏡を押し上げる癖を見せながら続ける。
「世界が腐り落ちる前に月の鎖を断つ。それがあいつの意志だから、僕らはそれを手伝うだけだ。そうだろう?」
「ユージンくん……」
 昨夜に重ね合わせた熱を思い出し、ミルシェは震えそうになる自分の肩を抱いた。
 無事だろうか……。
 いや、それを心配するときはもう終わったのだ。
 ふさぎ込む時間もすでに済ませた。
 自分に出来ることをする。ユージンの言うとおり、痛いほどに刻み込んだシグムントの意志を、ミルシェは胸の内に反芻した。

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